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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

女子ノ中ニモ五種ノ不能女アリ。此類ハ八齋戒ヲ受ルニ堪ヘス。沙彌尼。式叉摩那。大尼ノ位ニ堪ヘス。無漏道ヲ發スルニ堪ストアル。緣事ヲ擧ハ。一リノ石女アリ。尼寺ニ入テ出家ヲ願フ。諸尼コレヲ衆僧ニ白ス。衆僧コレヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告タマフ。根不具足ノ者ハ正法ノ中ニ入テ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家セシムヘカラズ。若已ニ出家シ了ラハ直ニ擯出セヨ。彼類ノ者解脫幢相ノ袈裟ヲ着スル器ナラス。清淨尼衆ノ中ニ在テ。王公大人ノ禮拜ヲ受ケ。信心施主ノ供養ヲ受ルニ堪ヘスト。此ニ由テ知レ。女人モ根具足セルハ宿福ノアル處シヤ。

新字:女子ノ中ニモ五種ノ不能女アリ。此類ハ八斎戒ヲ受ルニ堪ヘス。沙弥尼。式叉摩那。大尼ノ位ニ堪ヘス。無漏道ヲ発スルニ堪ストアル。縁事ヲ挙ハ。一リノ石女アリ。尼寺ニ入テ出家ヲ願フ。諸尼コレヲ衆僧ニ白ス。衆僧コレヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告タマフ。根不具足ノ者ハ正法ノ中ニ入テ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家セシムヘカラズ。若已ニ出家シ了ラハ直ニ擯出セヨ。彼類ノ者解脱幢相ノ袈裟ヲ着スル器ナラス。清浄尼衆ノ中ニ在テ。王公大人ノ礼拝ヲ受ケ。信心施主ノ供養ヲ受ルニ堪ヘスト。此ニ由テ知レ。女人モ根具足セルハ宿福ノアル処シヤ。

書き下し

女子ノ中ニモ五種ノ不能女アリ。此類ハ八斎戒ヲ受ルニ堪ヘス。沙弥尼。式叉摩那。大尼ノ位ニ堪ヘス。無漏道ヲ発スルニ堪ストアル。縁事ヲ挙ハ。一リノ石女アリ。尼寺ニ入テ出家ヲ願フ。諸尼コレヲ衆僧ニ白ス。衆僧コレヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告タマフ。根不具足ノ者ハ正法ノ中ニ入テ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家セシムヘカラズ。若已ニ出家シ了ラハ直ニ擯出セヨ。彼類ノ者解脱幢相ノ袈裟ヲ着スル器ナラス。清浄尼衆ノ中ニ在テ。王公大人ノ礼拝ヲ受ケ。信心施主ノ供養ヲ受ルニ堪ヘスト。此ニ由テ知レ。女人モ根具足セルハ宿福ノアル処シヤ。

現代語訳

女子の中にも五種の不能女があり、この類は八斎戒を受けるに堪えず、沙弥尼・式叉摩那・大尼(比丘尼)の位に堪えず、無漏の道を発するに堪えない、とある。その因縁を挙げれば、一人の石女(子を産めない女)があって、尼寺に入って出家を願った。尼たちがこれを僧たちに申し上げ、僧たちがこれを世尊に申し上げた。世尊は僧たちに告げられた。根が具わっていない者は正法の中に入ってもその利益がない。まだ出家していないなら出家させてはならない。もしすでに出家し終えているならただちに追放せよ。その類の者は解脱のしるしである袈裟を着る器ではない。清浄な尼僧たちの中にあって、王公や身分の高い人の礼拝を受け、信心ある施主の供養を受けるに堪えない、と。これによって知りなさい。女人も根が具わっているのは、前世の福のあるところなのである。

解説

前の章句と対になって、女性の出家の条件を述べる。沙弥尼は見習いの尼、式叉摩那は正式な尼になる前に学ぶ女性、大尼は具足戒を受けた比丘尼である。子を産めない女性を出家から外すという規定は、慈雲が律の条文として引いたもので、当時の教えの中にあった見方である。今日では、身体の条件や子の有無によって人の価値や資格を決めることは受け入れられない。宗教の規定もその時代の社会観を映しているということを知り、いま自分が当然としている線引きを問い直す材料として読むのがよい。

この章句が説くこと

不能女出家比丘尼宿福

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