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十善法語 / 巻第五・不綺語戒

神祇ニ事テ其心ヲ直クスルモ。面白カルヘシ。實類ノ神ノ其驗著シク。權類ノ神ノ其理幽玄ナル。天神地祇ノ品。獨化耦生ノ差別。立テテ五行トス。其神各各德ヲ顯ハス。散シテ萬物トナル。其神各各管トルトコロアル。神人一體ノ中ニ冥助ノ顯ルル。神物不二ノ中ニ其德具ハル。造化ヨリ人事ニ移ル間ニ神號ヲ立シ。神事ヲ定ルシヤ。高天原ト云。天御中主尊ト云。下至荒振神ト云。年ノ流行神。諸謗蘇鬼マテ。ソノ理モソノ事モミナ面白カルヘシ。絲竹管絃ノ及フ所デハアルマシキシヤ。マシテ綺語狂言ナトヲ玩フヘキコトデハナイ。

新字:神祇ニ事テ其心ヲ直クスルモ。面白カルヘシ。実類ノ神ノ其験著シク。権類ノ神ノ其理幽玄ナル。天神地祇ノ品。独化耦生ノ差別。立テテ五行トス。其神各各徳ヲ顕ハス。散シテ万物トナル。其神各各管トルトコロアル。神人一体ノ中ニ冥助ノ顕ルル。神物不二ノ中ニ其徳具ハル。造化ヨリ人事ニ移ル間ニ神号ヲ立シ。神事ヲ定ルシヤ。高天原ト云。天御中主尊ト云。下至荒振神ト云。年ノ流行神。諸謗蘇鬼マテ。ソノ理モソノ事モミナ面白カルヘシ。糸竹管絃ノ及フ所デハアルマシキシヤ。マシテ綺語狂言ナトヲ玩フヘキコトデハナイ。

書き下し

神祇ニ事テ其心ヲ直クスルモ。面白カルヘシ。実類ノ神ノ其験著シク。権類ノ神ノ其理幽玄ナル。天神地祇ノ品。独化耦生ノ差別。立テテ五行トス。其神各各徳ヲ顕ハス。散シテ万物トナル。其神各各管トルトコロアル。神人一体ノ中ニ冥助ノ顕ルル。神物不二ノ中ニ其徳具ハル。造化ヨリ人事ニ移ル間ニ神号ヲ立シ。神事ヲ定ルシヤ。高天原ト云。天御中主尊ト云。下至荒振神ト云。年ノ流行神。諸謗蘇鬼マテ。ソノ理モソノ事モミナ面白カルヘシ。糸竹管絃ノ及フ所デハアルマシキシヤ。マシテ綺語狂言ナトヲ玩フヘキコトデハナイ。

現代語訳

神祇に仕えてその心を真っ直ぐにするのも面白いはずである。実類の神はその霊験が著しく、権類の神はその理が幽玄である。天神地祇の品々、独化・耦生(ひとりで成った神と対で生まれた神)の区別がある。立てて五行とする。その神はそれぞれ徳を現す。散じて万物となる。その神はそれぞれつかさどるところがある。神と人が一体である中に目に見えない助けが現れる。神と物が不二である中にその徳が具わる。造化から人事に移る間に神号を立て、神事を定めるのである。高天原と言い、天御中主尊と言い、下っては荒振神と言い、その年の流行神、諸々の障りの鬼神まで、その理もその事もみな面白いはずである。糸竹管絃の及ぶところではないはずである。まして綺語や狂言などを玩ぶべきことではない。

解説

神祇に仕える道の楽しみである。尊者は晩年に雲伝神道と呼ばれる独自の神道説を立てた人で、ここにもその素養が表れている。実類の神と権類の神の区別は、本地垂迹説で化身としての権社の神と、そうでない実社の神を分ける考え方に基づく。独り神と対の神、五行、高天原や天御中主尊から荒ぶる神までを見渡し、神と人、神と物は一体不二だと説く。自分の心を真っ直ぐにすることが神に仕える本質だという点は、宗教を問わず敬虔さの基本として受け取れる。

この章句が説くこと

神祇神道冥助五行敬虔高天原

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