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十善法語 / 巻第五・不綺語戒

屋宅舟車等。衣服等。一切世ニ益アル物ハ尤第一トス。一切武器ノ世ノ守トナル。禮器樂器ノ世ノ教トナル。悉ク切用トスベシ。梵網經等ニ棺材板木ヲ造ルヲ制ス。此類ハ其斟酌アルベシ。爾餘華奢ニ隨順スル器。放逸ニ隨順スル器。若ハ奇巧ニ過ル。若ハ詐僞ニ渉ルナドハ。或ハ此身綺口綺ニ順ジ。或ハ天命ニ背キ。人道ニ違フ。道ニ志ス者ハ容易ナルマシキコトシヤ。

新字:屋宅舟車等。衣服等。一切世ニ益アル物ハ尤第一トス。一切武器ノ世ノ守トナル。礼器楽器ノ世ノ教トナル。悉ク切用トスベシ。梵網経等ニ棺材板木ヲ造ルヲ制ス。此類ハ其斟酌アルベシ。爾余華奢ニ随順スル器。放逸ニ随順スル器。若ハ奇巧ニ過ル。若ハ詐偽ニ渉ルナドハ。或ハ此身綺口綺ニ順ジ。或ハ天命ニ背キ。人道ニ違フ。道ニ志ス者ハ容易ナルマシキコトシヤ。

書き下し

屋宅舟車等。衣服等。一切世ニ益アル物ハ尤第一トス。一切武器ノ世ノ守トナル。礼器楽器ノ世ノ教トナル。悉ク切用トスベシ。梵網経等ニ棺材板木ヲ造ルヲ制ス。此類ハ其斟酌アルベシ。爾余華奢ニ随順スル器。放逸ニ随順スル器。若ハ奇巧ニ過ル。若ハ詐偽ニ渉ルナドハ。或ハ此身綺口綺ニ順ジ。或ハ天命ニ背キ。人道ニ違フ。道ニ志ス者ハ容易ナルマシキコトシヤ。

現代語訳

家屋・舟・車など、衣服など、一切世に益ある物はもっとも第一とする。一切の武器が世の守りとなり、礼器や楽器が世の教えとなるのも、ことごとく切実な用とすべきである。梵網経などに棺の材や板木を造ることを制している。この類はその斟酌があるべきである。そのほか、華美に従う器、放逸に従う器、あるいは奇抜な巧みに過ぎるもの、あるいは偽りにわたるものなどは、あるいはこの身綺・口綺に従い、あるいは天命に背き、人の道に違う。道を志す者は軽々しくしてはならないことである。

解説

職人が作る物の中にも、良し悪しの区別があると説く段である。家や舟や車、衣服など世の役に立つ物が第一で、武器も礼器も楽器もそれぞれ世の守りや教えとして大切だとする。一方で、贅沢や放逸をあおる物、奇抜な巧みに走る物、人を欺く物は、身の綺語・口の綺語に通じ、天命と人道に背くという。作る技術があっても、何を作るかを問わなければ道を外れる。商品やサービスを生み出す仕事に携わる人が、自分の作る物の意味を考える手がかりになる。

この章句が説くこと

身綺奇巧天命人道ものづくり梵網経

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