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十善法語 / 巻第五・不綺語戒

絲竹管絃ノ及所デナイ。マシテ狂言綺語。酒宴游興ノ比スヘキコトテハナキシヤ。シカシ。王者ハ絲竹管絃ヲ用フマシト云テハナイ。酒宴モ一向ニ絕スヘシト云テハナイ。道ヲ以テ樂ミ。四海清平ナルヲ樂ムハ常シヤ。タマサカ花前月下ニ親族群臣ヲ集メテ管絃ヲ催ス。此モ妨ケヌシヤ。婬樂ハ一向大人ノナスヘキコトナラス。房中侍女小臣ノ中タマサカニ見聞スルマテノコトシヤ。此樂アル。此位アル。臣庶ニ類セス。菩薩ハ多ク國王ノ身ヲ現スルト云コトシヤ。

新字:糸竹管絃ノ及所デナイ。マシテ狂言綺語。酒宴游興ノ比スヘキコトテハナキシヤ。シカシ。王者ハ糸竹管絃ヲ用フマシト云テハナイ。酒宴モ一向ニ絶スヘシト云テハナイ。道ヲ以テ楽ミ。四海清平ナルヲ楽ムハ常シヤ。タマサカ花前月下ニ親族群臣ヲ集メテ管絃ヲ催ス。此モ妨ケヌシヤ。婬楽ハ一向大人ノナスヘキコトナラス。房中侍女小臣ノ中タマサカニ見聞スルマテノコトシヤ。此楽アル。此位アル。臣庶ニ類セス。菩薩ハ多ク国王ノ身ヲ現スルト云コトシヤ。

書き下し

糸竹管絃ノ及所デナイ。マシテ狂言綺語。酒宴游興ノ比スヘキコトテハナキシヤ。シカシ。王者ハ糸竹管絃ヲ用フマシト云テハナイ。酒宴モ一向ニ絶スヘシト云テハナイ。道ヲ以テ楽ミ。四海清平ナルヲ楽ムハ常シヤ。タマサカ花前月下ニ親族群臣ヲ集メテ管絃ヲ催ス。此モ妨ケヌシヤ。婬楽ハ一向大人ノナスヘキコトナラス。房中侍女小臣ノ中タマサカニ見聞スルマテノコトシヤ。此楽アル。此位アル。臣庶ニ類セス。菩薩ハ多ク国王ノ身ヲ現スルト云コトシヤ。

現代語訳

これは糸竹管絃の及ぶところではない。まして狂言綺語や酒宴遊興の比べられることではないのである。しかし、王者は糸竹管絃を用いてはならないと言うのではない。酒宴も一切絶つべきだと言うのではない。道をもって楽しみ、天下が清く平らかなことを楽しむのは常のことである。まれに花の前や月の下に親族や群臣を集めて管絃を催す。これも妨げないのである。淫らな楽しみは一切大人のなすべきことではない。奥向きの侍女や小臣の中でまれに見聞きするまでのことである。この楽しみがあり、この位がある。臣下や庶民とは類を異にする。菩薩は多く国王の身を現すということである。

解説

君主の楽しみの結びである。尊者はここでも極端に走らず、王が音楽や酒宴を楽しむこと自体は否定しない。まれに花や月のもとで親族や群臣と管絃を催すのはよいとし、戒めるのは淫らな楽しみに溺れることだけである。菩薩は多く国王の身を現すという一句は、仏教で徳ある王を菩薩の化身と見る考え方を踏まえている。上に立つ人の息抜きは、節度と場をわきまえれば周囲との和を深める。禁欲ではなく、主と従を取り違えないことが要点である。

この章句が説くこと

中道節度菩薩王者管絃酒宴

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