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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

次ニ者字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。普輪斷差別ト名ツクルトアル。者字ハ遷變ノ義シヤ。遷變ト云ハ日往キ月來リ。春謝シ夏去シヤ。秋過テ冬ニナルシヤ。冬カ又春ニ移リ。年去リ年來ル。幼年ハ壯年ニナル。壯年ハ衰ル。生アル者ハ死スル。死スル者ハ亦生スル義シヤ。又諸行ノ義シヤ。諸行ト云ハ生死ノ體シヤ。又是出世ノ行シヤ。此カ阿字門ニ入レハ諸行遷變不可得ノ義シヤ。生死ノ諸行出世ノ諸行ヲ普輪トナツクル。此流轉還滅ニ種種淺深有ニ由テ差別ト名ツクル。本來不可得ナルヲ斷トナツクル。此ニ由テ普輪斷差別トナツクト云コトシヤ。

新字:次ニ者字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。普輪断差別ト名ツクルトアル。者字ハ遷変ノ義シヤ。遷変ト云ハ日往キ月来リ。春謝シ夏去シヤ。秋過テ冬ニナルシヤ。冬カ又春ニ移リ。年去リ年来ル。幼年ハ壮年ニナル。壮年ハ衰ル。生アル者ハ死スル。死スル者ハ亦生スル義シヤ。又諸行ノ義シヤ。諸行ト云ハ生死ノ体シヤ。又是出世ノ行シヤ。此カ阿字門ニ入レハ諸行遷変不可得ノ義シヤ。生死ノ諸行出世ノ諸行ヲ普輪トナツクル。此流転還滅ニ種種浅深有ニ由テ差別ト名ツクル。本来不可得ナルヲ断トナツクル。此ニ由テ普輪断差別トナツクト云コトシヤ。

書き下し

次ニ者字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。普輪断差別ト名ツクルトアル。者字ハ遷変ノ義シヤ。遷変ト云ハ日往キ月来リ。春謝シ夏去シヤ。秋過テ冬ニナルシヤ。冬カ又春ニ移リ。年去リ年来ル。幼年ハ壮年ニナル。壮年ハ衰ル。生アル者ハ死スル。死スル者ハ亦生スル義シヤ。又諸行ノ義シヤ。諸行ト云ハ生死ノ体シヤ。又是出世ノ行シヤ。此カ阿字門ニ入レハ諸行遷変不可得ノ義シヤ。生死ノ諸行出世ノ諸行ヲ普輪トナツクル。此流転還滅ニ種種浅深有ニ由テ差別ト名ツクル。本来不可得ナルヲ断トナツクル。此ニ由テ普輪断差別トナツクト云コトシヤ。

現代語訳

次に者の字を唱える時、般若波羅蜜の門に入る。普輪断差別と名づける、とある。者の字は遷り変わりの意味である。遷り変わりというのは、日が行き月が来て、春が去り夏が去るのである。秋が過ぎて冬になるのである。冬がまた春に移り、年が去り年が来る。幼年は壮年になる。壮年は衰える。生ある者は死ぬ。死ぬ者はまた生まれる、という意味である。また諸行の意味である。諸行というのは生死の本体である。またこれは出世間の行である。これが阿字の門に入れば、諸行の遷り変わりは得られないという意味である。生死の諸行と出世間の諸行を普輪と名づける。この流転と還滅にさまざまな浅深があるので差別と名づける。本来得られないことを断と名づける。これによって普輪断差別と名づけるということである。

解説

者の字は遷り変わりを表す。日月が巡り、四季が移り、幼い者は壮年になって老い、生ある者は死に、死ぬ者はまた生まれる。その移ろいは生死を繰り返す諸行でもあり、悟りへ向かう出世間の行でもある。それらを普輪、浅深の違いを差別と呼び、阿字の門から見れば本来つかめないことを断と呼んで、普輪断差別という名の意味を解き明かす。変わり続けるものを、変わるからこそとらわれる必要のないものとして見る視点は、変化の激しい環境で心の軸を保つ助けになる。

この章句が説くこと

遷変諸行無常生死者字

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