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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

華嚴ノ入法界品ニ。衆藝童子善財童子ニ告ク。善男子。我菩薩ノ解脫ヲ得タリ。善知衆藝ト名ツク。我恒ニ此字母ヲ唱持スト。此字母ト云ハ。天竺ノ小兒ノ手習ニスルコトテ。我邦テ云ハ。イロハノ類シヤ。支那國テ言ヘハ。上大人ノ類シヤ。我阿字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。菩薩威力入無差別境界ト名ツクト。此阿字ハ一切法本不生ノ義シヤ。本不生ノ義ハ。萬法ヲ統ルニ因テ無差別境界ト名ツクル。

新字:華厳ノ入法界品ニ。衆芸童子善財童子ニ告ク。善男子。我菩薩ノ解脱ヲ得タリ。善知衆芸ト名ツク。我恒ニ此字母ヲ唱持スト。此字母ト云ハ。天竺ノ小児ノ手習ニスルコトテ。我邦テ云ハ。イロハノ類シヤ。支那国テ言ヘハ。上大人ノ類シヤ。我阿字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。菩薩威力入無差別境界ト名ツクト。此阿字ハ一切法本不生ノ義シヤ。本不生ノ義ハ。万法ヲ統ルニ因テ無差別境界ト名ツクル。

書き下し

華厳ノ入法界品ニ。衆芸童子善財童子ニ告ク。善男子。我菩薩ノ解脱ヲ得タリ。善知衆芸ト名ツク。我恒ニ此字母ヲ唱持スト。此字母ト云ハ。天竺ノ小児ノ手習ニスルコトテ。我邦テ云ハ。イロハノ類シヤ。支那国テ言ヘハ。上大人ノ類シヤ。我阿字ヲ唱ルトキ般若波羅蜜門ニ入ル。菩薩威力入無差別境界ト名ツクト。此阿字ハ一切法本不生ノ義シヤ。本不生ノ義ハ。万法ヲ統ルニ因テ無差別境界ト名ツクル。

現代語訳

華厳経の入法界品に、衆芸童子が善財童子に告げた。善男子よ、私は菩薩の解脱を得た。善知衆芸と名づける。私は常にこの字母を唱え持っている、と。この字母というのは、インドの子どもが手習いにするもので、我が国で言えばいろはの類である。中国で言えば上大人の類である。私が阿の字を唱える時、般若波羅蜜の門に入る。菩薩の威力によって無差別の境界に入ると名づける、と。この阿の字は、一切の法は本来生じない(本不生)という意味である。本不生の意味は万法を統べるので、無差別の境界と名づける。

解説

ここから慈雲は、華厳経入法界品で善財童子が出会う衆芸童子の字母の教えを通して、言葉そのものが法門であることを説いていく。字母とはインドの子どもが習う文字の基本で、日本のいろは、中国で手習いの初めに書かれた上大人に当たるという。その最初の阿の字は、あらゆるものは本来生じたものではないという本不生の意味を表す。子どもの手習いの一字にまで悟りの門を見るこの見方は、基本の中にこそ最も深いものがあることを教えている。

この章句が説くこと

字母阿字本不生華厳経般若

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