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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

刹那ヲ積テ須臾トス。此刹那ニ來去ハナイ。須臾ヲ積テ日夜トス。此須臾ニ來去ハナイ。三十ノ日夜ヲ積テ一月トス。此日夜ニ來去ハナイ。月ヲ積テ年トス。此月ニ來去ハナイ。年ヲ積テ却數ヲ立ス。此年ニ來去ハナイ。此却數ノ中ニ世界成壞スル。此ニ成シ彼ニ壞スル。彼ニ生起シ此ニ隱沒スル。得道ノ人ハ彈丸ノ空中ニ上下スルヲ見ル如クト云コトシヤ。成ハ壞ノ緣トナル。壞ハ成ノ緣トナル。同類世界ノ同時ニ成シ同時ニ滅スル。異類世界ノ異時ニ滅シ異時ニ起ル。或ハ同類ノ異時ニ生滅シ。異類ノ同時ニ生滅スル。互ニ輪轉ソ。イツ初ト云コトナク。イツ終ト云コトナク。此カ久シキコトカト思ヘハ。元來一念心上ノ轉變ニ由テカクシヤ。一切法コトコトク不生シヤ。コトコトク不滅シヤ。

新字:刹那ヲ積テ須臾トス。此刹那ニ来去ハナイ。須臾ヲ積テ日夜トス。此須臾ニ来去ハナイ。三十ノ日夜ヲ積テ一月トス。此日夜ニ来去ハナイ。月ヲ積テ年トス。此月ニ来去ハナイ。年ヲ積テ却数ヲ立ス。此年ニ来去ハナイ。此却数ノ中ニ世界成壊スル。此ニ成シ彼ニ壊スル。彼ニ生起シ此ニ隠没スル。得道ノ人ハ弾丸ノ空中ニ上下スルヲ見ル如クト云コトシヤ。成ハ壊ノ縁トナル。壊ハ成ノ縁トナル。同類世界ノ同時ニ成シ同時ニ滅スル。異類世界ノ異時ニ滅シ異時ニ起ル。或ハ同類ノ異時ニ生滅シ。異類ノ同時ニ生滅スル。互ニ輪転ソ。イツ初ト云コトナク。イツ終ト云コトナク。此カ久シキコトカト思ヘハ。元来一念心上ノ転変ニ由テカクシヤ。一切法コトコトク不生シヤ。コトコトク不滅シヤ。

書き下し

刹那ヲ積テ須臾トス。此刹那ニ来去ハナイ。須臾ヲ積テ日夜トス。此須臾ニ来去ハナイ。三十ノ日夜ヲ積テ一月トス。此日夜ニ来去ハナイ。月ヲ積テ年トス。此月ニ来去ハナイ。年ヲ積テ却数ヲ立ス。此年ニ来去ハナイ。此却数ノ中ニ世界成壊スル。此ニ成シ彼ニ壊スル。彼ニ生起シ此ニ隠没スル。得道ノ人ハ弾丸ノ空中ニ上下スルヲ見ル如クト云コトシヤ。成ハ壊ノ縁トナル。壊ハ成ノ縁トナル。同類世界ノ同時ニ成シ同時ニ滅スル。異類世界ノ異時ニ滅シ異時ニ起ル。或ハ同類ノ異時ニ生滅シ。異類ノ同時ニ生滅スル。互ニ輪転ソ。イツ初ト云コトナク。イツ終ト云コトナク。此カ久シキコトカト思ヘハ。元来一念心上ノ転変ニ由テカクシヤ。一切法コトコトク不生シヤ。コトコトク不滅シヤ。

現代語訳

刹那を積んで須臾とする。この刹那に来去はない。須臾を積んで一昼夜とする。この須臾に来去はない。三十の昼夜を積んで一月とする。この昼夜に来去はない。月を積んで年とする。この月に来去はない。年を積んで劫の数を立てる。この年に来去はない。この劫の数の中で世界が成り壊れる。ここで成り、あちらで壊れる。あちらで生じ起こり、ここで隠れ没する。道を得た人には、弾丸が空中に上下するのを見るようだということである。成は壊の縁となる。壊は成の縁となる。同じ類の世界が同時に成り同時に滅する。異なる類の世界が異なる時に滅し異なる時に起こる。あるいは同じ類が異なる時に生滅し、異なる類が同時に生滅する。互いに巡って、いつが初めということもなく、いつが終わりということもない。これが久しいことかと思えば、もともと一念の心の上の移り変わりによってこうなのである。一切の法はことごとく生じない。ことごとく滅しないのである。

解説

時間の単位を刹那から須臾、昼夜、月、年、劫へと積み上げながら、どの単位にも来ることも去ることもないと説く。世界は劫の中で成っては壊れ、成は壊の縁、壊は成の縁となって、始まりも終わりもなく巡る。そしてその途方もない時の流れも、実は一念の心の上の移り変わりだという。これは慈雲が仏教の時間論と世界観に沿って説いたものである。長い時間や大きな変化に圧倒されそうなとき、それを見ているのは今のこの心だと立ち返ることで、落ち着きを取り戻せるという示唆がある。

この章句が説くこと

成壊刹那一念不生

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