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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

律中ニ。大迦葉尊者頭陀苦行第一ナリ。其末年ニ及テ。世尊教示ス。汝旣ニ衰老ナレハ頭陀ノ行ヲ捨ヘシト。尊者答フ。一切事皆世尊ノ教示ニ違シ奉ルマシキナレトモ。此頭陀ノ行ハ。初テ法ニ入シトキ。誠心ニ誓シコトナレハ。盡形壽我所行ヲ許シタマフヘシト。此類カ意ノ不妄語ト云ヘキコトシヤ。カクノ如ク世間出世間ノ二途ハ有レトモ。大人君子ノ道ヲ守ルコトハ一致シヤ。世ノ語ニ。忠臣ヲ求ルハ必ス孝子ノ門ニ於スト云如ク。世間ノ有志誠實ナル人ヲ得テ。剃染受戒サセタキコトシヤ。

新字:律中ニ。大迦葉尊者頭陀苦行第一ナリ。其末年ニ及テ。世尊教示ス。汝既ニ衰老ナレハ頭陀ノ行ヲ捨ヘシト。尊者答フ。一切事皆世尊ノ教示ニ違シ奉ルマシキナレトモ。此頭陀ノ行ハ。初テ法ニ入シトキ。誠心ニ誓シコトナレハ。尽形寿我所行ヲ許シタマフヘシト。此類カ意ノ不妄語ト云ヘキコトシヤ。カクノ如ク世間出世間ノ二途ハ有レトモ。大人君子ノ道ヲ守ルコトハ一致シヤ。世ノ語ニ。忠臣ヲ求ルハ必ス孝子ノ門ニ於スト云如ク。世間ノ有志誠実ナル人ヲ得テ。剃染受戒サセタキコトシヤ。

書き下し

律中ニ。大迦葉尊者頭陀苦行第一ナリ。其末年ニ及テ。世尊教示ス。汝既ニ衰老ナレハ頭陀ノ行ヲ捨ヘシト。尊者答フ。一切事皆世尊ノ教示ニ違シ奉ルマシキナレトモ。此頭陀ノ行ハ。初テ法ニ入シトキ。誠心ニ誓シコトナレハ。尽形寿我所行ヲ許シタマフヘシト。此類カ意ノ不妄語ト云ヘキコトシヤ。カクノ如ク世間出世間ノ二途ハ有レトモ。大人君子ノ道ヲ守ルコトハ一致シヤ。世ノ語ニ。忠臣ヲ求ルハ必ス孝子ノ門ニ於スト云如ク。世間ノ有志誠実ナル人ヲ得テ。剃染受戒サセタキコトシヤ。

現代語訳

律の中に、大迦葉尊者は頭陀の苦行第一である。その晩年に及んで、世尊が教え示された。お前はすでに衰え老いたのだから、頭陀の行を捨てるがよい、と。尊者は答えた。一切の事はみな世尊の教えに背き奉るまいと思いますが、この頭陀の行は、初めて法に入った時に誠の心で誓ったことですので、命の尽きるまで私の行うことをお許しください、と。この類が意の不妄語と言うべきことである。このように世間と出世間の二つの道はあるけれども、大人君子が道を守ることは一致している。世のことわざに、忠臣を求めるには必ず孝子の門においてする、と言うように、世間の志あり誠実な人を得て、髪を剃り衣を染めて戒を受けさせたいものである。

解説

迦葉は釈迦の十大弟子の一人で、頭陀第一と称された。老いた身を気遣う釈迦から修行をやめるよう勧められても、出家の時に誓ったことだからと、生涯続けることを願い出た。慈雲はこれを意の不妄語、つまり心に誓ったことを違えない姿とする。そして、世間でも出世間でも優れた人が道を守る姿は一つであり、忠臣は孝子の家から出るように、世間で誠実な人こそ出家させたいと結ぶ。初心の誓いを守り続ける人が、どの世界でも信頼される人になるという教えである。

この章句が説くこと

迦葉頭陀初心誓い忠孝

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