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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

其一類聲聞大弟子ノ中ニモ。迦葉尊者ハ專ラ頭陀ノ行ヲ行スル。目連尊者ハ首トシテ神通ヲ教授スル。婆須蜜尊者ハ常ニ彌猴ヲ集テ共住スル。迦留陀夷尊者ハ首トシテ道俗ヲ教導スル。薄拘羅尊者ハ一生尼寺ニ入ラス。請食施衣ヲ受ス。善和尊者ハ唯讚唄音曲ニ隨順スル。此等ノ諸師ミナ三界ヲ超過シテ世間ノ福田トナリ。位人天ノ上ニ居シ。德神明ノ頂ニ列ナル。其內證ハ一ナレドモ。其跡ハ種種有ルシヤ。遁世ノ一邊ヲ以テ佛法ヲ量ルハ。愚ノ甚シキシヤ。

新字:其一類声聞大弟子ノ中ニモ。迦葉尊者ハ専ラ頭陀ノ行ヲ行スル。目連尊者ハ首トシテ神通ヲ教授スル。婆須蜜尊者ハ常ニ弥猴ヲ集テ共住スル。迦留陀夷尊者ハ首トシテ道俗ヲ教導スル。薄拘羅尊者ハ一生尼寺ニ入ラス。請食施衣ヲ受ス。善和尊者ハ唯讃唄音曲ニ随順スル。此等ノ諸師ミナ三界ヲ超過シテ世間ノ福田トナリ。位人天ノ上ニ居シ。徳神明ノ頂ニ列ナル。其内証ハ一ナレドモ。其跡ハ種種有ルシヤ。遁世ノ一辺ヲ以テ仏法ヲ量ルハ。愚ノ甚シキシヤ。

書き下し

其一類声聞大弟子ノ中ニモ。迦葉尊者ハ専ラ頭陀ノ行ヲ行スル。目連尊者ハ首トシテ神通ヲ教授スル。婆須蜜尊者ハ常ニ弥猴ヲ集テ共住スル。迦留陀夷尊者ハ首トシテ道俗ヲ教導スル。薄拘羅尊者ハ一生尼寺ニ入ラス。請食施衣ヲ受ス。善和尊者ハ唯讃唄音曲ニ随順スル。此等ノ諸師ミナ三界ヲ超過シテ世間ノ福田トナリ。位人天ノ上ニ居シ。徳神明ノ頂ニ列ナル。其内証ハ一ナレドモ。其跡ハ種種有ルシヤ。遁世ノ一辺ヲ以テ仏法ヲ量ルハ。愚ノ甚シキシヤ。

現代語訳

その一類である声聞の大弟子の中でも、迦葉尊者はもっぱら頭陀の行(衣食住への執着を払う修行)を行う。目連尊者は主として神通を教え授ける。婆須蜜尊者は常に猿を集めてともに住む。迦留陀夷尊者は主として出家と在家を教え導く。薄拘羅尊者は一生尼寺に入らず、招かれての食事や施された衣を受けない。善和尊者はただ讃歌や音曲に従う。これらの諸師はみな三界を超えて世間の福田(功徳を生む田)となり、位は人間や天上の者の上にあり、徳は神々の頂に並ぶ。その内なる悟りは一つであるが、その現れた跡はさまざまにあるのである。遁世の一面だけで仏法を量るのは、甚だしい愚かさである。

解説

釈迦の弟子たちは、同じ悟りを得ていても、その現れ方は一人ひとり違ったと慈雲は例を並べる。迦葉は厳しい頭陀行で、目連は神通第一として知られ、迦留陀夷は人々の教化に力を尽くした。猿と住む者、歌や音曲に随う者までいる。内なる悟りは一つ、跡は種々という言葉は、道の表れ方が人の数だけあることを示している。一つの型に当てはまらない人を劣っていると見なさず、それぞれの持ち味を認める姿勢は、人を育て組織をまとめるうえでも大切である。

この章句が説くこと

声聞迦葉目連福田内証

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