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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

出世間ノ中諸佛因地ノ脩行。菩薩聲聞漏無漏ノ行業。擧テ數フヘキコトテナイ。其中一二ヲ云ハハ。昔シ普明王斑足王ニ捕ハル。斑足暫ク許シ還シテ。後自來レト云。普明王期ヲ違スシテ至ル。斑足王曰。身命惜ヘシ。汝何ソ期ヲ違スシテ來ル。普明王曰。虛妄ニシテ活スル實ニシテ死スルニシカスト。斑足此ニ感シテ。衆人ノ命難ヲ免レシム。此類不妄語ヲ護持スルシルシト云ベキシヤ。又佛滅後ニ。護法菩薩ハ誓テ菩提樹邊ヲ離スシテ終ル。清辨菩薩ハ人天師ト稱スル時ナラスハ。菩提樹ヲ見スト誓テ。此モ其志ヲ移サストアル。又如法沙門ノ通儀トシテ。三衣ヲ離レテ宿セス。一切ノ飯食下至一掬ノ水ヲ飮ニモ。必ス袈裟ヲ離レヌ。此類カ身ノ不妄語ヲ全フスル姿シヤ。

新字:出世間ノ中諸仏因地ノ脩行。菩薩声聞漏無漏ノ行業。挙テ数フヘキコトテナイ。其中一二ヲ云ハハ。昔シ普明王斑足王ニ捕ハル。斑足暫ク許シ還シテ。後自来レト云。普明王期ヲ違スシテ至ル。斑足王曰。身命惜ヘシ。汝何ソ期ヲ違スシテ来ル。普明王曰。虚妄ニシテ活スル実ニシテ死スルニシカスト。斑足此ニ感シテ。衆人ノ命難ヲ免レシム。此類不妄語ヲ護持スルシルシト云ベキシヤ。又仏滅後ニ。護法菩薩ハ誓テ菩提樹辺ヲ離スシテ終ル。清弁菩薩ハ人天師ト称スル時ナラスハ。菩提樹ヲ見スト誓テ。此モ其志ヲ移サストアル。又如法沙門ノ通儀トシテ。三衣ヲ離レテ宿セス。一切ノ飯食下至一掬ノ水ヲ飲ニモ。必ス袈裟ヲ離レヌ。此類カ身ノ不妄語ヲ全フスル姿シヤ。

書き下し

出世間ノ中諸仏因地ノ脩行。菩薩声聞漏無漏ノ行業。挙テ数フヘキコトテナイ。其中一二ヲ云ハハ。昔シ普明王斑足王ニ捕ハル。斑足暫ク許シ還シテ。後自来レト云。普明王期ヲ違スシテ至ル。斑足王曰。身命惜ヘシ。汝何ソ期ヲ違スシテ来ル。普明王曰。虚妄ニシテ活スル実ニシテ死スルニシカスト。斑足此ニ感シテ。衆人ノ命難ヲ免レシム。此類不妄語ヲ護持スルシルシト云ベキシヤ。又仏滅後ニ。護法菩薩ハ誓テ菩提樹辺ヲ離スシテ終ル。清弁菩薩ハ人天師ト称スル時ナラスハ。菩提樹ヲ見スト誓テ。此モ其志ヲ移サストアル。又如法沙門ノ通儀トシテ。三衣ヲ離レテ宿セス。一切ノ飯食下至一掬ノ水ヲ飲ニモ。必ス袈裟ヲ離レヌ。此類カ身ノ不妄語ヲ全フスル姿シヤ。

現代語訳

出世間の中では、諸仏が因地(仏になる前)に修めた行、菩薩や声聞の有漏・無漏の行いは、挙げて数えられることではない。その中の一、二を言えば、昔、普明王が斑足王に捕らえられた。斑足王はしばらく許して帰し、後で自ら戻って来いと言った。普明王は期限を違えずにやって来た。斑足王が言った。身命は惜しいはずだ。お前はなぜ期限を違えずに来たのか。普明王が言った。偽って生きるより、真実であって死ぬほうがましだ、と。斑足王はこれに感じて、人々の命を難から免れさせた。この類は不妄語を護持したしるしと言うべきである。また仏滅後に、護法菩薩は誓って菩提樹のそばを離れずに生涯を終えた。清弁菩薩は、人天の師と称される時でなければ菩提樹を見ないと誓って、これもその志を移さなかった、とある。また如法の沙門の通例として、三衣を離れて宿泊せず、一切の食事から、下は一すくいの水を飲むにも、必ず袈裟を離れない。この類が身の不妄語を全うする姿である。

解説

仏道の中の不妄語の例を挙げる。普明王は斑足王に捕らえられ、いったん帰されて約束の日に戻ってきた。命が惜しくないのかと問われ、偽って生きるより真実に死ぬほうがよいと答えたので、斑足王は心を動かされ、人々を難から救ったという。護法と清弁はインドの大乗仏教の論師で、それぞれの誓いを生涯守った。三衣を離れず、水を飲むにも袈裟を着けるという僧の作法も、身をもって誓いを守る姿だという。約束の日に戻る、決めた作法を崩さないという愚直さが、人の心を動かす力になる。

この章句が説くこと

不妄語普明王誓い袈裟作法

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