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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

此道義ノ外ノ妄語ハ。設ヒ人ヲ傷ヒ。國ヲアヤマルホトノコトテモ。其罪體ハミナ小妄語ナルト云コトシヤ。經中ニ輕地獄ノ業トアル。若此ニ因テ人ノ命ヲ斷スルコトアレハ。此妄語ノ罪ノ外ニ。重テ殺生ノ大罪ヲ兼得ル。若國ヲ破レハ。コノ妄語罪ノ外。更ニソノ人民ヲ損害シ。天道人理ニ違スル廣大ノ罪ヲ重ネ得ル。此業果空シカラネトモ。厥妄語ノ體ハ小妄語ニ攝ス。此條例。佛說楷定シテ混セヌシヤ。若五戒十善ヲ護持スル人カ小妄語ヲ犯セルニハ。教テ懺悔セシムヘシトアル。懺悔シ了レハ罪滅ストアル。後ニ五衆ノ戒ヲモ受ルニ堪ルト有ル。大妄語ハ。一度犯シタル者ハ懺悔ナリ難ク。罪滅シ難シ。再ヒ五衆ノ戒ヲ發得スルコトカナラヌト有ル。法式楷定シテ如是シヤ。

新字:此道義ノ外ノ妄語ハ。設ヒ人ヲ傷ヒ。国ヲアヤマルホトノコトテモ。其罪体ハミナ小妄語ナルト云コトシヤ。経中ニ軽地獄ノ業トアル。若此ニ因テ人ノ命ヲ断スルコトアレハ。此妄語ノ罪ノ外ニ。重テ殺生ノ大罪ヲ兼得ル。若国ヲ破レハ。コノ妄語罪ノ外。更ニソノ人民ヲ損害シ。天道人理ニ違スル広大ノ罪ヲ重ネ得ル。此業果空シカラネトモ。厥妄語ノ体ハ小妄語ニ摂ス。此条例。仏説楷定シテ混セヌシヤ。若五戒十善ヲ護持スル人カ小妄語ヲ犯セルニハ。教テ懺悔セシムヘシトアル。懺悔シ了レハ罪滅ストアル。後ニ五衆ノ戒ヲモ受ルニ堪ルト有ル。大妄語ハ。一度犯シタル者ハ懺悔ナリ難ク。罪滅シ難シ。再ヒ五衆ノ戒ヲ発得スルコトカナラヌト有ル。法式楷定シテ如是シヤ。

書き下し

此道義ノ外ノ妄語ハ。設ヒ人ヲ傷ヒ。国ヲアヤマルホトノコトテモ。其罪体ハミナ小妄語ナルト云コトシヤ。経中ニ軽地獄ノ業トアル。若此ニ因テ人ノ命ヲ断スルコトアレハ。此妄語ノ罪ノ外ニ。重テ殺生ノ大罪ヲ兼得ル。若国ヲ破レハ。コノ妄語罪ノ外。更ニソノ人民ヲ損害シ。天道人理ニ違スル広大ノ罪ヲ重ネ得ル。此業果空シカラネトモ。厥妄語ノ体ハ小妄語ニ摂ス。此条例。仏説楷定シテ混セヌシヤ。若五戒十善ヲ護持スル人カ小妄語ヲ犯セルニハ。教テ懺悔セシムヘシトアル。懺悔シ了レハ罪滅ストアル。後ニ五衆ノ戒ヲモ受ルニ堪ルト有ル。大妄語ハ。一度犯シタル者ハ懺悔ナリ難ク。罪滅シ難シ。再ヒ五衆ノ戒ヲ発得スルコトカナラヌト有ル。法式楷定シテ如是シヤ。

現代語訳

この道や徳に関すること以外の妄語は、たとえ人を傷つけ国を誤らせるほどのことであっても、その罪の本体はみな小妄語であるということである。経の中に、軽い地獄の業、とある。もしこれによって人の命を断つことがあれば、この妄語の罪のほかに、重ねて殺生の大罪を兼ねて得る。もし国を破れば、この妄語の罪のほかに、さらにその人民を損ない、天の道と人の理に背く広大な罪を重ねて得る。この業の果報は空しくないけれども、その妄語の本体は小妄語に含まれる。この条例は仏説が定めていて、混同しないのである。もし五戒や十善を護持する人が小妄語を犯した場合には、教えて懺悔させるべし、とある。懺悔し終われば罪は滅する、とある。後に五衆(出家の五種の人々)の戒をも受けるに堪える、とある。大妄語は、一度犯した者は懺悔が難しく、罪は滅しがたい。再び五衆の戒を得ることができない、とある。法の定めはこのようになっているのである。

解説

大妄語と小妄語の区別を、戒律の定めに沿って詳しく述べる。道や徳についての偽り以外の嘘は、たとえ人を傷つけ国を誤らせても、嘘そのものとしては小妄語であり、そこに殺生や人民を損なう罪が別に重なって加わるのだと整理する。小妄語は懺悔すれば滅し、後に出家の戒も受けられるが、大妄語は懺悔が難しく二度と戒を得られないという。一つの行為を性質ごとに分けて重さを量る戒律の考え方は、失敗の責任を感情でなく中身で見極めようとするときの参考になる。

この章句が説くこと

小妄語懺悔戒律五戒

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