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十善法語 / 巻第四・不妄語戒

聖教ノ中。讚唄ノ德。及ヒ鈴鐸ノ德ヲ說。ミナ信スヘキシヤ。無漏大定ノ世界ノ中ニ。此妙法藏有テ。常ニ十善相應ノ人間ニ隨順スル。此戒相ニ大妄語アリ。小妄語アルシヤ。德義道義ニ就テ詐ルヲ大妄語ト云。通途ノ見ルヲ不見ト云ヒ。見サルヲ見ルト云ヒ。是非顚倒シテ說ヲ。小妄語ト名ツクル。今ノ世ニ愚ナル者カ名聞ノ爲利養ノタメ。佛ノ名號ヲ唱ヘ。眞言ヲ受誦シテ。佛モ見エル樣ニ云類。神祇ノ告モ有様ニ云類。少シモ虛僞ニワタルハ。大妄語ニナルシヤ。書ヲ著シテ佛說ナラヌコトヲ佛說ノヤウニ書キノコス類。夢ニ託シ感應ニ託シ種種ノ虛誕ヲ設ケ。世ヲ迷ハシ民ヲ誣ル類。ミナ大妄語ト云シヤ。此大妄語ハ無間ノ罪業ト云コトシヤ。

新字:聖教ノ中。讃唄ノ徳。及ヒ鈴鐸ノ徳ヲ説。ミナ信スヘキシヤ。無漏大定ノ世界ノ中ニ。此妙法蔵有テ。常ニ十善相応ノ人間ニ随順スル。此戒相ニ大妄語アリ。小妄語アルシヤ。徳義道義ニ就テ詐ルヲ大妄語ト云。通途ノ見ルヲ不見ト云ヒ。見サルヲ見ルト云ヒ。是非顛倒シテ説ヲ。小妄語ト名ツクル。今ノ世ニ愚ナル者カ名聞ノ為利養ノタメ。仏ノ名号ヲ唱ヘ。真言ヲ受誦シテ。仏モ見エル様ニ云類。神祇ノ告モ有様ニ云類。少シモ虚偽ニワタルハ。大妄語ニナルシヤ。書ヲ著シテ仏説ナラヌコトヲ仏説ノヤウニ書キノコス類。夢ニ託シ感応ニ託シ種種ノ虚誕ヲ設ケ。世ヲ迷ハシ民ヲ誣ル類。ミナ大妄語ト云シヤ。此大妄語ハ無間ノ罪業ト云コトシヤ。

書き下し

聖教ノ中。讃唄ノ徳。及ヒ鈴鐸ノ徳ヲ説。ミナ信スヘキシヤ。無漏大定ノ世界ノ中ニ。此妙法蔵有テ。常ニ十善相応ノ人間ニ随順スル。此戒相ニ大妄語アリ。小妄語アルシヤ。徳義道義ニ就テ詐ルヲ大妄語ト云。通途ノ見ルヲ不見ト云ヒ。見サルヲ見ルト云ヒ。是非顛倒シテ説ヲ。小妄語ト名ツクル。今ノ世ニ愚ナル者カ名聞ノ為利養ノタメ。仏ノ名号ヲ唱ヘ。真言ヲ受誦シテ。仏モ見エル様ニ云類。神祇ノ告モ有様ニ云類。少シモ虚偽ニワタルハ。大妄語ニナルシヤ。書ヲ著シテ仏説ナラヌコトヲ仏説ノヤウニ書キノコス類。夢ニ託シ感応ニ託シ種種ノ虚誕ヲ設ケ。世ヲ迷ハシ民ヲ誣ル類。ミナ大妄語ト云シヤ。此大妄語ハ無間ノ罪業ト云コトシヤ。

現代語訳

聖教の中に、讃歌を唱える徳、および鈴や鐸(大きな鈴)の徳を説く。みな信じるべきである。無漏の大いなる禅定の世界の中に、この妙なる法の蔵があって、常に十善に相応する人間に従う。この戒の相には大妄語があり、小妄語があるのである。徳や道に関して偽ることを大妄語と言う。普通の、見たことを見ないと言い、見ないことを見たと言い、是非をひっくり返して説くことを小妄語と名づける。今の世に愚かな者が、名声のため利得のために、仏の名号を唱え、真言を誦して、仏も見えるように言う類、神々のお告げもあるように言う類は、少しでも虚偽にわたれば大妄語になるのである。書物を著して仏説でないことを仏説のように書き残す類、夢にかこつけ感応にかこつけてさまざまな虚妄を設け、世を迷わせ民を欺く類は、みな大妄語と言うのである。この大妄語は無間地獄に堕ちる罪業だということである。

解説

妄語を大小に分ける段である。見たものを見ないと言うような日常の嘘が小妄語、悟りや徳について偽るのが大妄語だという。慈雲は当時の例として、名声や利得のために仏が見えた、神のお告げがあったと言いふらす者、仏説でないものを仏説として書き残す者、夢や霊験にかこつけて人々を惑わす者を挙げ、最も重い無間地獄の罪とする。自分の経験や成果を大きく見せて人を導こうとする誘惑は今も身近にある。人の信頼に関わる領域ほど偽りが重い、という線引きとして読める。

この章句が説くこと

大妄語小妄語名聞利養虚偽

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