論語 / 子罕篇
子曰:知者不惑,仁者不憂,勇者不懼。
書き下し
子曰わく、知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず。
現代語訳
孔子が『知者は物事に惑わず、仁者は憂え悩み、勇者は物事を恐れない』と言われた。
解説
物事をよくわきまえた人は判断に迷わず、思いやりの心を持つ人はくよくよ思い悩まず、勇気ある人は物事を恐れない、という三つの徳を示した言葉です。知識や見通しがあれば、どちらに進むべきか迷いにくくなります。人のことを思いやる広い心があれば、目先の損得に振り回されて悩み続けることが減ります。そして勇気があれば、難しい場面でも尻込みせずに前へ進めます。これは仕事の判断だけでなく、子育てや近所付き合いでも同じで、よく知り、人を思いやり、恐れずに行動する。この三つが揃って初めて、人は落ち着いて日々を過ごせるようになります。
この章句が説くこと
智慧決断力意思決定理念レジリエンス
関連する章句
-
論語・憲問篇子曰く、「君子の道なる者三つ、我能くすること無し。仁者は憂えず、知者は惑わず、勇者は懼れず。」子貢曰く、「夫子自ら道うなり。」
-
『韓非子』外儲説右上第三十四能く獨り斷ずる者は、故に以て天下の主と為る可し。
-
論語・陽貨篇子路曰く、「君子は勇を尚ぶか。」子曰く、「君子は義以て上と為す。君子勇有りて義無ければ乱を為し、小人勇有りて義無ければ盗を為す。」
-
老子・第20章学を絶てば憂い無し。唯と阿と、相去ること幾何ぞ。善と悪と、相去ること若何。人の畏るる所は、畏れざるべからず。荒としてそれ未だ央きざるかな。衆人は熙熙として、太牢を享くるが如く、春に台に登るが如し。我れ独り泊としてそれ未だ兆さず、嬰児の未だ孩わざるが如し。儽儽として帰する所無きが若し。衆人は皆な余り有るに、我れ独り遺れたるが若し。我れは愚人の心なるかな、沌沌たり。俗人は昭昭たるに、我れ独り昏昏たり。俗人は察察たるに、我れ独り悶悶たり。澹としてそれ海の若く、飂として止まる所無きが若し。衆人は皆な以うる有るに、我れ独り頑にして鄙に似たり。我れ独り人に異なりて、母に食わるるを貴ぶ。
-
論語・為政篇子曰く、由よ、女(なんじ)に之を知るを誨えんか。之を知るを之を知ると為し、知らざるを知らずと為す、是れ知るなり。
-
老子・第73章敢えてするに勇なれば則ち殺され、敢えてせざるに勇なれば則ち活く。此の両者、或いは利あり或いは害あり。天の悪む所、孰か其の故を知らん。是を以て聖人は猶お之を難しとす。天の道は、争わずして善く勝ち、言わずして善く応じ、召さずして自ら来たり、繟然として善く謀る。天網は恢恢、疏にして失わず。