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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

禮拜スル者ハ天地ノ間ニ在テ尊貴ノ位ヲ得ル。供養スル者ハ天地ノ間ニ在テ福祿榮耀ノ報ヲ得ル。此供養ヲ受テ。自ラ此身ノ累タルコトヲ知ル。此禮拜恭敬ヲ受ケ世間ノ名利勝他ニ染着セヌ。緣アレハ出テ世ノ福田トナル。金殿珠樓ノ中ニアリ綾羅錦繡ノ上ニ坐シテ。常ニ樹下石上ニ相違セヌ。緣ナケレハ隱テ心地ノ德ヲ煉ル。三衣シハシハ破レ。一鉢常ニ空ウシテ。身心長ヘニ泰然タルシヤ。天地ノ間ニ在テ人倫ヲ超過スル。人倫ヲ超過スル者カ人倫ノ師トナル。其道カクノ如クシヤ。

新字:礼拝スル者ハ天地ノ間ニ在テ尊貴ノ位ヲ得ル。供養スル者ハ天地ノ間ニ在テ福禄栄耀ノ報ヲ得ル。此供養ヲ受テ。自ラ此身ノ累タルコトヲ知ル。此礼拝恭敬ヲ受ケ世間ノ名利勝他ニ染着セヌ。縁アレハ出テ世ノ福田トナル。金殿珠楼ノ中ニアリ綾羅錦繡ノ上ニ坐シテ。常ニ樹下石上ニ相違セヌ。縁ナケレハ隠テ心地ノ徳ヲ煉ル。三衣シハシハ破レ。一鉢常ニ空ウシテ。身心長ヘニ泰然タルシヤ。天地ノ間ニ在テ人倫ヲ超過スル。人倫ヲ超過スル者カ人倫ノ師トナル。其道カクノ如クシヤ。

書き下し

礼拝スル者ハ天地ノ間ニ在テ尊貴ノ位ヲ得ル。供養スル者ハ天地ノ間ニ在テ福禄栄耀ノ報ヲ得ル。此供養ヲ受テ。自ラ此身ノ累タルコトヲ知ル。此礼拝恭敬ヲ受ケ世間ノ名利勝他ニ染着セヌ。縁アレハ出テ世ノ福田トナル。金殿珠楼ノ中ニアリ綾羅錦繡ノ上ニ坐シテ。常ニ樹下石上ニ相違セヌ。縁ナケレハ隠テ心地ノ徳ヲ煉ル。三衣シハシハ破レ。一鉢常ニ空ウシテ。身心長ヘニ泰然タルシヤ。天地ノ間ニ在テ人倫ヲ超過スル。人倫ヲ超過スル者カ人倫ノ師トナル。其道カクノ如クシヤ。

現代語訳

僧宝を礼拝する者は、天地の間にあって尊く貴い位を得る。供養する者は、天地の間にあって福禄と栄えの報いを得る。僧はこの供養を受けて、自らこの身が重荷であることを知る。この礼拝や恭敬を受けても、世間の名利や人に勝ろうとする心に染まらない。縁があれば世に出て人々の福田となる。金の御殿や珠玉の楼閣の中にあり、綾や錦の上に座っても、常に樹の下や石の上にいる時と違わない。縁がなければ隠れて心の地の徳を練る。三衣はしばしば破れ、一つの鉢は常に空であっても、身心はいつまでも泰然としているのである。天地の間にあって人倫を超える。人倫を超えた者が人倫の師となる。その道はこのようである。

解説

真の僧のあり方を描いた段である。敬われ供養されても、それを自分の身の重荷と受け止め、名利や人に勝ろうとする心に染まらない。縁があれば世に出て人々の役に立ち、豪華な場にいても樹の下にいる時と心は変わらない。縁がなければ隠れて心を練り、衣が破れ鉢が空でも泰然としている。三衣と一鉢は、出家者が持つことを許された最小限の持ち物である。地位や待遇が上がっても下がっても心の置き所が変わらない、という姿は、どの立場の人にとっても一つの理想像である。

この章句が説くこと

僧宝福田名利泰然三衣

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