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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

一類懶惰ノ者アリ。初テ一日ノ糧ヲ畜フ。乃至二日三日ノ糧ヲ畜フ。此時ニ至テ初テ粃糠生ス。此地上ノ人間。水穀身ヲ資テ生涯ヲ送ル。如是移リ轉シ來テ身內滓穢生シ。不淨下ニ漏ル。此時一類ノ執着薄キ者ハ男形ヲ成シ。一類ノ愛情多キ者ハ女形ヲ成ス。一類輕疎ノ衆生相視テ親愛ノ情生ス。能所親近シテ情欲ウタタ深ク。始テ婬事アリ。人民コレヲ賤メテ瓦礫木石ヲ擲チ。一日乃至七日共語セス。此惡賤ヲ避テ初テ屋宅アリ。男女其室ニ居ル。此トキ身光ステニ滅シテ世界黑暗トナル。衆生餘善アリ。日月上ニ現ス。日東方ニ現スル時人民歡喜ス。西ニ沒スル時人民悲泣ス。

新字:一類懶惰ノ者アリ。初テ一日ノ糧ヲ畜フ。乃至二日三日ノ糧ヲ畜フ。此時ニ至テ初テ粃糠生ス。此地上ノ人間。水穀身ヲ資テ生涯ヲ送ル。如是移リ転シ来テ身内滓穢生シ。不浄下ニ漏ル。此時一類ノ執着薄キ者ハ男形ヲ成シ。一類ノ愛情多キ者ハ女形ヲ成ス。一類軽疎ノ衆生相視テ親愛ノ情生ス。能所親近シテ情欲ウタタ深ク。始テ婬事アリ。人民コレヲ賤メテ瓦礫木石ヲ擲チ。一日乃至七日共語セス。此悪賤ヲ避テ初テ屋宅アリ。男女其室ニ居ル。此トキ身光ステニ滅シテ世界黒暗トナル。衆生余善アリ。日月上ニ現ス。日東方ニ現スル時人民歓喜ス。西ニ没スル時人民悲泣ス。

書き下し

一類懶惰ノ者アリ。初テ一日ノ糧ヲ畜フ。乃至二日三日ノ糧ヲ畜フ。此時ニ至テ初テ粃糠生ス。此地上ノ人間。水穀身ヲ資テ生涯ヲ送ル。如是移リ転シ来テ身内滓穢生シ。不浄下ニ漏ル。此時一類ノ執着薄キ者ハ男形ヲ成シ。一類ノ愛情多キ者ハ女形ヲ成ス。一類軽疎ノ衆生相視テ親愛ノ情生ス。能所親近シテ情欲ウタタ深ク。始テ婬事アリ。人民コレヲ賤メテ瓦礫木石ヲ擲チ。一日乃至七日共語セス。此悪賤ヲ避テ初テ屋宅アリ。男女其室ニ居ル。此トキ身光ステニ滅シテ世界黒暗トナル。衆生余善アリ。日月上ニ現ス。日東方ニ現スル時人民歓喜ス。西ニ没スル時人民悲泣ス。

現代語訳

一類の怠け者がいて、初めて一日分の食糧を蓄えた。やがて二日、三日分の食糧を蓄えた。この時になって初めて米に殻や糠が生じた。この地上の人間は、水と穀物で身を養って生涯を送るようになった。このように移り変わってきて、身の内に滓や穢れが生じ、不浄が下に漏れるようになった。この時、執着の薄い一類の者は男の形となり、愛情の多い一類の者は女の形となった。軽はずみな一類の衆生が見つめ合って親しみ愛する情が生じ、互いに近づいて情欲がいよいよ深くなり、初めて婬事があった。人々はこれを卑しんで瓦礫や木石を投げつけ、一日から七日まで言葉を交わさなかった。この卑しみを避けて初めて家屋ができ、男女がその部屋に住むようになった。この時、身の光はすでに消えて世界は暗黒となった。衆生に残りの善があって、日月が空に現れた。日が東に現れる時、人々は歓喜した。西に沈む時、人々は悲しみ泣いた。

解説

前の章句に続き、蓄えることを覚えた怠け心から米に殻が生じ、身に穢れが生じ、男女の形が分かれて婬事が始まったという経説を紹介する。執着の薄い者が男、愛情の多い者が女となったという部分は、仏典に説かれる古代インドの物語として慈雲が伝えたもので、男女の優劣を今日に当てはめる根拠にはならない。この物語の要は、先を案じて貯め込み始めたことが、豊かさを失っていく転機になったという点にある。必要以上に抱え込もうとする心を見つめ直す話として読める。

この章句が説くこと

起世経懶惰貪欲愛欲婬事

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