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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

又夫婦ノ道正シク不邪婬戒ヲ守ルハ。天地和合ノ義ニ順スル。若他ノ妻妾ヲ奪ヒ。世間ノ許サヌ婬事ハ勿論ノコト。其定レル妻定レル妾ノ中ニモ。閨門ノ內纔ニ其道ニ背ケハ。天地ノ儀ニ背ク。天ニ天象アリ。地ニ地理アル。地理ハ必天象ニ應スルニ因テ。此不邪婬戒法ニ非支ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四時ノ規則違ハヌニ因テ。此戒法ノ中ニ非時ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四方位定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非處ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ其數定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非度ノ制カ有シヤ。

新字:又夫婦ノ道正シク不邪婬戒ヲ守ルハ。天地和合ノ義ニ順スル。若他ノ妻妾ヲ奪ヒ。世間ノ許サヌ婬事ハ勿論ノコト。其定レル妻定レル妾ノ中ニモ。閨門ノ内纔ニ其道ニ背ケハ。天地ノ儀ニ背ク。天ニ天象アリ。地ニ地理アル。地理ハ必天象ニ応スルニ因テ。此不邪婬戒法ニ非支ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四時ノ規則違ハヌニ因テ。此戒法ノ中ニ非時ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四方位定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非処ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ其数定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非度ノ制カ有シヤ。

書き下し

又夫婦ノ道正シク不邪婬戒ヲ守ルハ。天地和合ノ義ニ順スル。若他ノ妻妾ヲ奪ヒ。世間ノ許サヌ婬事ハ勿論ノコト。其定レル妻定レル妾ノ中ニモ。閨門ノ内纔ニ其道ニ背ケハ。天地ノ儀ニ背ク。天ニ天象アリ。地ニ地理アル。地理ハ必天象ニ応スルニ因テ。此不邪婬戒法ニ非支ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四時ノ規則違ハヌニ因テ。此戒法ノ中ニ非時ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ四方位定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非処ノ制カ有シヤ。天地ノ間ニ其数定ルニ因テ。此戒法ノ中ニ非度ノ制カ有シヤ。

現代語訳

また夫婦の道が正しく不邪婬戒を守るのは、天地が和合する義に順うことである。もし他人の妻や妾を奪い、世間の許さない婬事をするのは言うまでもなく、自分の定まった妻、定まった妾との間でも、閨門の内でわずかにでもその道に背けば、天地の儀に背く。天には天の象があり、地には地の理がある。地の理は必ず天の象に応じるので、この不邪婬戒の法に非支(しかるべき身の部分でない所)の制がある。天地の間に四季の規則が違わないので、この戒法の中に非時(しかるべきでない時)の制がある。天地の間に四方の方位が定まっているので、この戒法の中に非処(しかるべきでない場所)の制がある。天地の間にその数が定まっているので、この戒法の中に非度(度を過ごすこと)の制がある。

解説

在家の不邪婬戒は、他人の配偶者を奪わないことにとどまらず、定まった夫婦の間にも守るべき節度があると説く。仏教の戒律では、しかるべきでない身の部分・時・場所・度数での交わりも邪婬に数えられ、慈雲はそれを天の象、四季、方位、数という天地の秩序に対応させている。妾をもつことを前提にした語り方は当時の社会のものである。そのうえで、親しい間柄だからこそ相手を思いやる節度が要る、という点は、夫婦に限らず身近な人との関係に広く通じる。

この章句が説くこと

不邪婬夫婦節度天地戒法

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