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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

又佛在世ニ二形ノ者有テ出家ヲ願フ。此ヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告給フ。此類我法ノ中ニ入トモ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家ヲ許ササレ。旣ニ出家セハ早ク擯出セヨ。彼等諸戒ヲ得ニ堪ヘス。定慧ヲ發スルニ堪ス。清淨衆中ニ在テ。王公大人信心施主ノ禮拜供養ヲ受ルニ堪ヘズト。此二形ニ三種ノ差別アルト云カ。三種共ニ天ノ德ヲ破リ。地ノ德ヲ傷フ。法ノ器ナラス。梵網經ノ中ニ。畜生或ハ變化ノ人或ハ此等ノ類ニ受戒ヲ許ス。此ハ別途ノ法門ニテ。今此ニ論スヘキコトテハナキシヤ。

新字:又仏在世ニ二形ノ者有テ出家ヲ願フ。此ヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告給フ。此類我法ノ中ニ入トモ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家ヲ許ササレ。既ニ出家セハ早ク擯出セヨ。彼等諸戒ヲ得ニ堪ヘス。定慧ヲ発スルニ堪ス。清浄衆中ニ在テ。王公大人信心施主ノ礼拝供養ヲ受ルニ堪ヘズト。此二形ニ三種ノ差別アルト云カ。三種共ニ天ノ徳ヲ破リ。地ノ徳ヲ傷フ。法ノ器ナラス。梵網経ノ中ニ。畜生或ハ変化ノ人或ハ此等ノ類ニ受戒ヲ許ス。此ハ別途ノ法門ニテ。今此ニ論スヘキコトテハナキシヤ。

書き下し

又仏在世ニ二形ノ者有テ出家ヲ願フ。此ヲ世尊ニ白ス。世尊衆ニ告給フ。此類我法ノ中ニ入トモ其利益ナシ。未タ出家セスハ出家ヲ許ササレ。既ニ出家セハ早ク擯出セヨ。彼等諸戒ヲ得ニ堪ヘス。定慧ヲ発スルニ堪ス。清浄衆中ニ在テ。王公大人信心施主ノ礼拝供養ヲ受ルニ堪ヘズト。此二形ニ三種ノ差別アルト云カ。三種共ニ天ノ徳ヲ破リ。地ノ徳ヲ傷フ。法ノ器ナラス。梵網経ノ中ニ。畜生或ハ変化ノ人或ハ此等ノ類ニ受戒ヲ許ス。此ハ別途ノ法門ニテ。今此ニ論スヘキコトテハナキシヤ。

現代語訳

また仏の在世に、二形の者(男女両方の性の特徴をもつ者)があって出家を願った。これを世尊に申し上げた。世尊は僧たちに告げられた。この類は我が法の中に入ってもその利益がない。まだ出家していないなら出家を許してはならない。すでに出家したのなら早く追放せよ。彼らは諸々の戒を得るに堪えず、禅定と智慧を発するに堪えない。清浄な僧の中にあって、王公や身分の高い人、信心ある施主の礼拝と供養を受けるに堪えない、と。この二形には三種の区別があるというが、三種ともに天の徳を破り、地の徳を損なう。法の器ではない。梵網経の中では、畜生や、変化の人(姿を変えて現れた者)や、これらの類にも受戒を許している。これは別の筋の法門であって、今ここで論じるべきことではないのである。

解説

律の規定に従い、男女両方の性の特徴をもつ人の出家を認めないと述べる段である。慈雲はこれを天地の徳を損なうもので法の器ではないと言い切るが、これは十八世紀の戒律理解に立った見方であり、今日の性の多様性の理解とは相いれない。一方で、梵網経は畜生にまで受戒を許すと、別の法門があることにも触れている。同じ仏教の中でも、戒を受ける資格の考え方には幅があったことが分かる。人を排除する線引きがどんな前提から来ているのかを見極める材料として読みたい。

この章句が説くこと

二形出家梵網経受戒

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