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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

是等ハ甚深ナルシヤ。庸流ノ解シ難キ所シヤ。何故ナレハ。無漏大道ハ人間諸根ノ中ニ顯レ。四肢百骸ノ中ニ具ハル。菩薩ノ行願。諸佛ノ方便ハ。現今人事ノ中ニ滿足シ。生死世界ノ中ニ具ハル。男子ナラハ男子ニテ根具足セサルハ。天ノ德ヲ全クスルコトハナラヌ。女子ナラハ女子ニテ根具足セサレハ。地ノ德ヲ全クスルコトハナラヌ。此天地ノ德ヲ備ヘ。人ノ人タル道ヲ全クセシ上ニ。法器ニモナルヘク。人天ノ師位ニモ至ルヘキコトシヤ。

新字:是等ハ甚深ナルシヤ。庸流ノ解シ難キ所シヤ。何故ナレハ。無漏大道ハ人間諸根ノ中ニ顕レ。四肢百骸ノ中ニ具ハル。菩薩ノ行願。諸仏ノ方便ハ。現今人事ノ中ニ満足シ。生死世界ノ中ニ具ハル。男子ナラハ男子ニテ根具足セサルハ。天ノ徳ヲ全クスルコトハナラヌ。女子ナラハ女子ニテ根具足セサレハ。地ノ徳ヲ全クスルコトハナラヌ。此天地ノ徳ヲ備ヘ。人ノ人タル道ヲ全クセシ上ニ。法器ニモナルヘク。人天ノ師位ニモ至ルヘキコトシヤ。

書き下し

是等ハ甚深ナルシヤ。庸流ノ解シ難キ所シヤ。何故ナレハ。無漏大道ハ人間諸根ノ中ニ顕レ。四肢百骸ノ中ニ具ハル。菩薩ノ行願。諸仏ノ方便ハ。現今人事ノ中ニ満足シ。生死世界ノ中ニ具ハル。男子ナラハ男子ニテ根具足セサルハ。天ノ徳ヲ全クスルコトハナラヌ。女子ナラハ女子ニテ根具足セサレハ。地ノ徳ヲ全クスルコトハナラヌ。此天地ノ徳ヲ備ヘ。人ノ人タル道ヲ全クセシ上ニ。法器ニモナルヘク。人天ノ師位ニモ至ルヘキコトシヤ。

現代語訳

これらは甚だ深いことである。凡庸な者には理解しがたいところである。なぜかと言えば、無漏の大道は人間の諸々の根(感官と身体の働き)の中に現れ、手足や全身の骨の中に具わる。菩薩の行と願、諸仏の方便は、いまの人の営みの中に満ち足り、生死の世界の中に具わる。男子であれば、男子として根が具わっていないのは、天の徳を全うすることができない。女子であれば、女子として根が具わっていなければ、地の徳を全うすることができない。この天地の徳を備え、人の人たる道を全うした上に、法の器にもなることができ、人間と天上の者の師の位にも至ることができるのである。

解説

前の二つの章句の規定がなぜ深い意味をもつのかを、慈雲なりに説明する段である。悟りの道は身体を離れた抽象の世界にあるのではなく、この身の感官や手足の中に現れ、菩薩の行いも日々の人の営みの中に満ちている、という。だから身が天地の徳を具えていることが修行の器の前提になる、というのが慈雲の論理である。身体の条件で人を分ける点は今日受け入れられないが、悟りや理想を日常と身体の外に求めないという視点は、今を生きる者にとっても示唆がある。

この章句が説くこと

無漏菩薩方便法器人の道

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