師導古典を学びたいすべての人に

十善法語 / 巻第一・不殺生戒

又華嚴經ニ。十不善業ノ久遠長時其苦報相續スルコトヲ說ク中ニ。殺生之罪能令衆生墮於地獄畜生餓鬼。若生人中得二種果報。一者短命。二者多病トアル。此中殺生ノ罪ハ自ラ佛性ニ背ク。此人間世界天地生育ノ理ニ違フ。人ノ人タル道ニ背ク。此ニ由テ自性法界清淨妙心ノ中ニ地獄ヲ建立スルシヤ。大火ヲ現スルシヤ。大水ヲ現スルシヤ。諸ノ獄卒ヲ現スルシヤ。百千萬年却數ヲ建立シテ。此中ニ頭出頭沒スルシヤ。水穀ノ名字ヲモ聞ヌ餓鬼界ヲ建立スルシヤ。義理ヲ辨セス。互ニ相暾害スル畜生界ヲ建立スルシヤ。此ヲ三惡趣ニ墮スト云。此カ正シキ殺生業道ノ報シヤ。

新字:又華厳経ニ。十不善業ノ久遠長時其苦報相続スルコトヲ説ク中ニ。殺生之罪能令衆生堕於地獄畜生餓鬼。若生人中得二種果報。一者短命。二者多病トアル。此中殺生ノ罪ハ自ラ仏性ニ背ク。此人間世界天地生育ノ理ニ違フ。人ノ人タル道ニ背ク。此ニ由テ自性法界清浄妙心ノ中ニ地獄ヲ建立スルシヤ。大火ヲ現スルシヤ。大水ヲ現スルシヤ。諸ノ獄卒ヲ現スルシヤ。百千万年却数ヲ建立シテ。此中ニ頭出頭没スルシヤ。水穀ノ名字ヲモ聞ヌ餓鬼界ヲ建立スルシヤ。義理ヲ弁セス。互ニ相暾害スル畜生界ヲ建立スルシヤ。此ヲ三悪趣ニ堕スト云。此カ正シキ殺生業道ノ報シヤ。

書き下し

又華厳経ニ。十不善業ノ久遠長時其苦報相続スルコトヲ説ク中ニ。殺生之罪能令衆生堕於地獄畜生餓鬼。若生人中得二種果報。一者短命。二者多病トアル。此中殺生ノ罪ハ自ラ仏性ニ背ク。此人間世界天地生育ノ理ニ違フ。人ノ人タル道ニ背ク。此ニ由テ自性法界清浄妙心ノ中ニ地獄ヲ建立スルシヤ。大火ヲ現スルシヤ。大水ヲ現スルシヤ。諸ノ獄卒ヲ現スルシヤ。百千万年却数ヲ建立シテ。此中ニ頭出頭没スルシヤ。水穀ノ名字ヲモ聞ヌ餓鬼界ヲ建立スルシヤ。義理ヲ弁セス。互ニ相暾害スル畜生界ヲ建立スルシヤ。此ヲ三悪趣ニ堕スト云。此カ正シキ殺生業道ノ報シヤ。

現代語訳

また華厳経に、十不善業が遠く長い時にわたってその苦しい報いを相続することを説く中に、「殺生の罪は、よく衆生を地獄・畜生・餓鬼に落とす。もし人の中に生まれれば、二種の果報を得る。一つは短命、二つは多病である」とある。この中で殺生の罪は、自ら仏性に背く。この人間世界の天地生育の理に違う。人の人たる道に背く。これによって、自らの本性である法界の清浄な妙なる心の中に地獄を作り出すのである。大火を現すのである。大水を現すのである。諸々の獄卒を現すのである。百千万年の劫の数を作り出して、その中で浮き沈みするのである。水や穀物の名さえ聞かない餓鬼界を作り出すのである。義理をわきまえず、互いに食い合い害し合う畜生界を作り出すのである。これを三悪趣に落ちると言う。これが正しい殺生の業道の報いである。

解説

華厳経十地品に、殺生の報いとして三悪趣に落ち、人に生まれても短命と多病の二つの果報を受けると説かれる。尊者はこれを、外から罰が下るのではなく、仏性に背き、天地が命を育む理に背いた心が、自らの清らかな本性の中に地獄の大火や大水、獄卒を作り出すのだと解く。地獄を心が作る世界として描くのは、尊者の説く宇宙観の要である。命を損なう行いが、まず行った者自身の心の世界を荒らしてしまうという見方として、受け止めることができる。

この章句が説くこと

華厳経地獄三悪趣仏性業道不殺生

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる