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十善法語 / 巻第一・不殺生戒

眼ニ相對スルニ。憎惡ナキニ由テ惡口ヲ離ルル。一切衆生ヲ我子トスレハ。憎惡ノ心カ自ラ離レネハナラヌ。假令離レネトモ薄クナラネハナラヌ。儒書ニモ。我明德ヲ懷フテ。聲ト色トヲ大ニセストアル。他ノ親愛ヲ喜フニ由テ兩舌モナイ。一切衆生ノ父トナレハ其衆生ハ互ニ兄弟ノ如クシヤ。兄弟ノ睦シキヲ悅ハヌ親ハナイ。兄弟ノ不和ヲ憂ヘヌ親モナイ。儒書ニモ。四海ミナ兄弟ナリトアルシヤ。

新字:眼ニ相対スルニ。憎悪ナキニ由テ悪口ヲ離ルル。一切衆生ヲ我子トスレハ。憎悪ノ心カ自ラ離レネハナラヌ。仮令離レネトモ薄クナラネハナラヌ。儒書ニモ。我明徳ヲ懐フテ。声ト色トヲ大ニセストアル。他ノ親愛ヲ喜フニ由テ両舌モナイ。一切衆生ノ父トナレハ其衆生ハ互ニ兄弟ノ如クシヤ。兄弟ノ睦シキヲ悦ハヌ親ハナイ。兄弟ノ不和ヲ憂ヘヌ親モナイ。儒書ニモ。四海ミナ兄弟ナリトアルシヤ。

書き下し

眼ニ相対スルニ。憎悪ナキニ由テ悪口ヲ離ルル。一切衆生ヲ我子トスレハ。憎悪ノ心カ自ラ離レネハナラヌ。仮令離レネトモ薄クナラネハナラヌ。儒書ニモ。我明徳ヲ懐フテ。声ト色トヲ大ニセストアル。他ノ親愛ヲ喜フニ由テ両舌モナイ。一切衆生ノ父トナレハ其衆生ハ互ニ兄弟ノ如クシヤ。兄弟ノ睦シキヲ悅ハヌ親ハナイ。兄弟ノ不和ヲ憂ヘヌ親モナイ。儒書ニモ。四海ミナ兄弟ナリトアルシヤ。

現代語訳

眼の前に向き合っても憎しみがないから、悪口を離れる。一切衆生をわが子とすれば、憎しみの心は自然に離れざるをえない。たとえ離れなくても薄くならざるをえない。儒書にも、「私は明徳を心にかけて、声と顔色を荒立てない」とある。他人の親しみ合いを喜ぶから、両舌もない。一切衆生の父となれば、その衆生は互いに兄弟のようなものである。兄弟の睦まじさを喜ばない親はいない。兄弟の不和を憂えない親もいない。儒書にも、「四海のうちはみな兄弟である」とあるのである。

解説

不悪口戒と不両舌戒を短く説く二段である。人をわが子と見れば憎しみは消えるか、少なくとも薄くなり、荒い言葉は出にくくなる。儒書の句は詩経に出て中庸の末尾にも引かれる「予懐明徳、不大声以色」で、徳ある者は声や顔色を荒げないという意味である。また、すべての人の親の立場に立てば、人々は兄弟同士であり、その仲を裂く告げ口などできない。論語の「四海之内皆兄弟也」も引かれる。職場で人の噂や陰口に加わりそうになったとき、親の目で見直す視点をくれる。

この章句が説くこと

不悪口不両舌兄弟明徳論語憎悪

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