人物志 / 釋爭
不伐者伐之也,不爭者爭之也;讓敵者勝之也,下眾者上之也。
新字:不伐者伐之也,不争者争之也;譲敵者勝之也,下眾者上之也。
書き下し
伐らざる者は之を伐つなり、争わざる者は之を争うなり。敵に讓る者は之に勝つなり、衆に下る者は之に上るなり。
現代語訳
誇らない者こそ、実は誇る以上の評価を得る。争わない者こそ、実は争う以上の結果を手にする。相手に譲る者こそ、実はその相手に勝っている。多くの人にへりくだる者こそ、実は人の上に立っている。
解説
誇らないこと、争わないこと、譲ること、へりくだることが、それぞれ誇ること・争うこと・勝つこと・上に立つことと同じ効果を持つという逆説を、劉劭は釋爭篇の締めくくりとして示す。強く主張し勝ち取ろうとする姿勢がかえって信頼を損なう、控えめに一歩引く姿勢が結果として評価や信頼を集めていくことは、現代の人間関係でも変わらず見られる構図である。何かを主張し勝ち取ろうとする前に、あえて引いてみることで得られるものがないか、考えてみる価値がある。
この章句が説くこと
不伐不争譲ることの強さ逆説の帰結