人物志 / 八觀
敬之為道也,嚴而相離,其勢難久;愛之為道也,情親意厚,深而感物。
新字:敬之為道也,厳而相離,其勢難久;愛之為道也,情親意厚,深而感物。
書き下し
敬の道たるや、厳にして相離る、其の勢い久しかり難し。愛の道たるや、情親しく意厚く、深くして物を感ぜしむ。
現代語訳
敬という道のあり方は、厳格であるがゆえに人と人とを遠ざけ、その勢いは長続きしにくい。愛という道のあり方は、情が親しく心が厚いので、深く人の心を動かす。
解説
敬意だけで人と接すると態度は厳格になるが、その分だけ相手との間に距離ができ、関係は長続きしにくいと人物志は言う。一方、愛情をもって接すると心が通い合い、深いところで相手の心を動かす力を持つ。仕事上の礼儀正しさと、家族や友人への情の通った関わりとでは、同じ良い関係でも持続の仕方がまるで違う。距離を保つ関係と深く結びつく関係のどちらを築きたいかによって、敬と愛の配分を意識的に選ぶ必要がある。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
敬遠情愛持続
関連する章句
-
尚書・咸有一德七世の廟は、以て徳を観るべし。万夫の長は、以て政を観るべし。
-
『墨子』公孟二三子、子墨子に復して曰く、「告子は仁を為すに勝えたり」と。子墨子曰く、「未だ必ずしも然らざるなり。告子の仁を為すは、譬うれば猶お跛にして以て長しと為し、隠にして以て廣しと為すがごとし。久しかる可からざるなり」と。
-
『呻吟語』内篇・存心・千金の子の盜を防ぐがごとし千日義を集むるも、一刻も心に慊らざるを禁じ得ず。是を以て君子は瞬存息養し、一刻も道義の上に在らざること無し。其の不義を防ぐや、千金の子の盜を防ぐがごとし、餒うるを懼るるの故なり。
-
『囲炉夜話』第百三十則・川は海を學びて海に至る川は海を學びて海に至る、故に道を謀る者は、止心有るべからず。 莠は苗に非ずして苗に似たり、故に理を窮むる者は、真見無かるべからず。
-
論語・顔淵篇子張、政を問う。子曰く、「之に居りて倦むこと無く、之を行うに忠を以てす。」
-
『後世への最大遺物』第一回・上から掘れ、おれは下から掘る「われわれのような貧乏人で、貧乏人には何も大事業を遺して逝くことはできない」というと、弟が兄に向っていうには、「この山をくり抜いて湖水の水をとり、水田を興してやったならば、それが後世への大なる遺物ではないか」というた。兄は「それは非常に面白いことだ、それではお前は上の方から掘れ、おれは下の方から掘ろう。一生涯かかってもこの穴を掘ろうじゃないか」といって掘り始めた。それでどういうふうにしてやりましたかというと、そのころは測量器械もないから、山の上に標を立てて、両方から掘っていったとみえる。それから兄弟が生涯かかって何もせずに……たぶん自分の職業になるだけの仕事はしたでございましょう……兄弟して両方からして、毎年毎年掘っていった。