人物志 / 八觀
若夫見可憐則流涕,將分與則吝嗇,是慈而不仁者。
新字:若夫見可憐則流涕,将分与則吝嗇,是慈而不仁者。
書き下し
若し夫れ憐れむべきを見て則ち涕を流し、将に分かち与えんとして則ち吝嗇なるは、是れ慈にして仁ならざる者なり。
現代語訳
気の毒な人を見ると涙を流すが、いざ分け与えようとすると出し惜しみするのは、慈しみの心はあっても仁徳のない者である。
解説
気の毒な人を見て涙を流すのは自然な感情だが、実際に何かを差し出す段になると惜しんでしまうことがある。人物志はこれを「慈にして仁ならざる」と呼び、感情の動きと行動の実質は別物だと見抜く。誰しも同情の涙と実際の行動との間に隔たりを抱えることがあり、その隔たりに気づくことが自己理解の一歩になる。人を見るときも、涙より先に、実際に何を差し出したかを見る視点が要る。
この章句が説くこと
慈愛出し惜しみ言行不一致
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