人物志 / 接識
故以己觀人,則以為可知也;觀人之察人,則以為不識也。
新字:故以己観人,則以為可知也;観人之察人,則以為不識也。
書き下し
故に己を以て人を観れば、則ち知る可しと以為い、人の人を察するを観れば、則ち識らずと以為う。
現代語訳
それゆえ、自分を基準にして人を観察すれば「見抜けるはずだ」と思う一方、他人が人を見定めているのを見ると「あの人はわかっていない」と思ってしまう。
解説
自分を基準にして他人を判断するとき、人は「これでわかるはずだ」と安心しやすい。ところが同じ物差しを他人が使っているのを見ると、なぜか「あの人はわかっていない」と感じてしまう。これは自分の判断基準を特別視する心理の表れであり、誰にでも起こりうる。人物評価に限らず、意見の違いを相手のせいにする前に、自分の物差し自体を疑ってみる余地がある。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
自己基準判断力相対化
関連する章句
-
人物志・接識夫れ人は初め甚だ知り難きに、士は衆寡と無く、皆自ら人を知ると以為う。
-
人物志・接識能く同体の善を識るも、或いは異量の美を失う。
-
人物志・接識故に一流の人は、能く一流の善を識る。二流の人は、能く二流の美を識る。
-
人物志・接識法制の人は、分数を以て度と為す、故に能く較方直の量を識りて、変化の術を貴ばず。術謀の人は、思謨を以て度と為す、故に能く策略の奇を成して、遵法の良を識らず。器能の人は、弁護を以て度と為す、故に能く方略の規を識りて、制度の原を知らず。智意の人は、原意を以て度と為す、故に能く韜諝の権を識りて、法教の常を貴ばず。伎倆の人は、邀功を以て度と為す、故に能く進趣の功を識りて、道徳の化に通ぜず。臧否の人は、伺察を以て度と為す、故に能く訶砭の明を識りて、倜儻の異に暢びず。言語の人は、弁析を以て度と為す、故に能く捷給の恵を識りて、含章の美を知らず。是を以て互ひに相非駁し、肯へて相是とする莫し。
-
人物志・接識同体を取れば、則ち論に接して相得るも、異体を取れば、久しきを歴ると雖も知らず。
-
人物志・接識夫れ清節の人は、正直を以て度と為す。故に其の衆材を歴るや、能く性行の常を識るも、或いは法術の詭を疑う。