人物志 / 材能
夫一官之任,以一味協五味;一國之政,以無味和五味。
新字:夫一官之任,以一味協五味;一国之政,以無味和五味。
書き下し
夫れ一官の任は、一味を以て五味に協う。一国の政は、無味を以て五味を和す。
現代語訳
そもそも一つの役職の務めは、一つの持ち味をもって全体の調和に加わることである。国全体を治める政は、それ自体は無色でありながら、あらゆる持ち味を調和させることにある。
解説
一つの役職は自分の個性という持ち味を発揮して貢献すればよいが、全体を治める立場は、自分の個性を前面に出すのではなく、様々な個性を調和させる無色の存在であるべきだという喩えである。突出した個性を持つことは一つの持ち場では強みになるが、全体を束ねる場では、自分の色を薄めてでも他者の色を活かす姿勢が求められる。自分の得意技を押し出したくなる場面と、あえて色を消して周りを立てるべき場面とを、混同していないか振り返る材料になる一文である。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
個性と調和五味の喩え統括者の無色
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『政談』諸役人に器量を選ふ事此の事を君子は和して同せす、小人は同して和せすと孔子も宣へり、和すると云ふは五味を調和するか如し、五味の塩梅と云ふは格別の塩梅を持ち行て交せ合はすることなり、故に臣下には君と才智の筋各別なるを善とす、君何ほと才智ありても、人の才智は一向きに得手なる所ありて、又た不得手なる所あるものなり、聖人とても斯の如き故に、各別に違ひたる才智の臣をいくらも寄せされは君の才智の足らぬ所を補ふへきやうなし、同すると云ふは譬へはふくさみ其の甘きに砂糖を入れ、其上に又蜜をも入れ、又飴をも入れたるか如し、是君の心に合はせて物好きの少しも違はぬを云ふなり、論語の此の章は朱子の注解は大に相違したり、左伝の本文に此の訳精しくあるなり、
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人物志・材能夫れ人材同じからず、能は各異なる有り。自任の能有り、立法使人の能有り、消息弁護の能有り、徳教を以て人に師たるの能、行事使人譴譲の能有り、司察糾摘の能有り、権奇の能有り、威猛の能有り。夫れ能は材より出で、材は量を同じくせず。材能既に殊なれば、政に任ずるも亦異なる。是の故に、自任の能は、清節の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の任、国の為にしては、則ち矯直の政なり。立法の能は、治家の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の任、国の為にしては、則ち公正の政なり。計策の能は、術家の材なり、故に朝に在りては、則ち三孤の任、国の為にしては、則ち変化の政なり。人事の能は、智意の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の佐、国の為にしては、則ち諧合の政なり。行事の能は、譴譲の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の佐、国の為にしては、則ち督責の政なり。権奇の能は、伎倆の材なり、故に朝に在りては、則ち司空の任、国の為にしては、則ち芸事の政なり。司察の能は、臧否の材なり、故に朝に在りては、則ち師氏の佐、国の為にしては、則ち刻削の政なり。威猛の能は、豪傑の材なり、故に朝に在りては、則ち将帥の任、国の為にしては、則ち厳厲の政なり。