人物志 / 材理
故善接論者,度所長而論之;歷之不動則不說也,傍無聽達則不難也。不善接論者,說之以雜、反;說之以雜、反,則不入矣。
新字:故善接論者,度所長而論之;歴之不動則不説也,傍無聴達則不難也。不善接論者,説之以雑、反;説之以雑、反,則不入矣。
書き下し
故に善く論を接する者は、長ずる所を度りて之を論じ、之を歴て動かざれば則ち説かず、傍らに聴達無ければ則ち難ぜず。善く論を接せざる者は、之に説くに雑・反を以てす。之に説くに雑・反を以てすれば、則ち入らず。
現代語訳
だから議論をうまく交わす者は、相手の長じているところを推し量ってそれについて論じ、ひととおり話しても相手が動かなければそれ以上説かず、そばに聞き分けて理解する人がいなければ、反論もしない。議論をうまく交わせない者は、相手に対して、(性の)入り混じった話や反対の話で説こうとする。入り混じった話や反対の話で説けば、相手の心には入らない。
解説
直前で劉劭は、九偏の材には同・反・雑の関係があり、同じ性なら理解し合い、反対なら非難し合い、入り混じれば大ざっぱに扱い合うと述べた。それを受けて、議論の上手な人は相手の得意なところに合わせて論じ、話しても動かなければ深追いせず、周りに理解できる人がいなければ論難もしない、と説く。下手な人は相手と噛み合わない性質の話や反対の立場の話をぶつけるので、言葉が相手に入らない。説得の成否は内容の正しさだけでなく、相手の性と語り口の相性で決まるという洞察である。部下や取引先に話すとき、まず相手の関心と得意分野から入るという、今の対話術の基本と重なる。
関連する章句
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人物志・材理善く難ずる者は、務めて事の本を釈く。難ずるに善からざる者は、本を舎てて末を理む。
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人物志・材理夫れ何の故ぞや。蓋し理は品多くして人は異なればなり。
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人物志・材理夫れ九偏の材は、同有り、反有り、雑有り。同なれば則ち相解し、反なれば則ち相非とし、雑なれば則ち相恢す。
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人物志・材理堅勁の人は、好んで其の事実を攻む。機理を指せば則ち穎灼にして徹尽し、大道に渉れば則ち径露にして単持す。弁給の人は、辞煩にして意鋭し。人事を推せば則ち精識にして理を窮め、大義に即けば則ち恢愕にして周からず。浮沈の人は、沈思すること能はず、疏数を序すれば則ち豁達にして傲博、事要を立つれば則ち爁炎にして定まらず。
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人物志・材理寛恕の人は、速捷なること能はず、仁義を論ずれば則ち弘詳にして長雅、時務に趨けば則ち遅緩にして及ばず。温柔の人は、力休彊ならず、道を味はへば則ち順適にして和暢、疑難に擬すれば則ち濡懦にして尽くさず。好奇の人は、横逸にして異を求め、権譎を造れば則ち倜儻にして瑰壮、清道を案ずれば則ち詭常にして恢迂なり。所謂性に九偏有り、各其の心の可とする所に従ひて以て理と為す。若し乃ち性精暢ならざれば、則ち流に七似有り。漫談陳説して、流行有るに似たる者有り。理少なくして端多く、博意なるが若きに似たる者有り。迴説して意に合はせ、讃解するが若きに似たる者有り。後に処りて長を持し、衆の安んずる所に従ひて、能く聴断するに似たる者有り。難を避けて応ぜず、余り有るが若きに似て、実は知らざる者有り。通を慕ひて口もて解し、悦ぶに似て懌ばざる者有り。勝に因りて情失し、窮して妙と称し、跌すれば則ち掎蹠し、実は両解を求め、理の屈すべからざるに似たる者有り。凡そ此の七似は、衆人の惑ふ所なり。夫れ弁に、理勝有り、辞勝有り。理勝なる者は、白黒を正して以て論を広め、微妙を釈きて之を通ず。
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