人物志 / 流業
蓋人流之業,十有二焉:有清節家,有法家,有術家,有國體,有器能,有臧否,有伎倆,有智意,有文章,有儒學,有口辨,有雄傑。若夫德行高妙,容止可法,是謂清節之家,延陵、晏嬰是也。建法立制,彊國富人,是謂法家,管仲、商鞅是也。思通道化,策謀奇妙,是謂術家,范蠡、張良是也。兼有三材,三材皆備,其德足以厲風俗,其法足以正天下,其術足以謀廟勝,是謂國體,伊尹、呂望是也。兼有三材,三材皆微,其德足以率一國,其法足以正鄉邑,其術足以權事宜,是謂器能,子產、西門豹是也。兼有三材之別,各有一流。清節之流,不能弘恕,好尚譏訶,分別是非,是謂臧否,子夏之徒是也。法家之流,不能創思圖遠,而能受一官之任,錯意施巧,是謂伎倆,張敞、趙廣漢是也。術家之流,不能創制垂則,而能遭變用權,權智有餘,公正不足,是謂智意,陳平、韓安國是也。
新字:蓋人流之業,十有二焉:有清節家,有法家,有術家,有国体,有器能,有臧否,有伎倆,有智意,有文章,有儒学,有口弁,有雄傑。若夫徳行高妙,容止可法,是謂清節之家,延陵、晏嬰是也。建法立制,彊国富人,是謂法家,管仲、商鞅是也。思通道化,策謀奇妙,是謂術家,范蠡、張良是也。兼有三材,三材皆備,其徳足以厲風俗,其法足以正天下,其術足以謀廟勝,是謂国体,伊尹、呂望是也。兼有三材,三材皆微,其徳足以率一国,其法足以正郷邑,其術足以権事宜,是謂器能,子産、西門豹是也。兼有三材之別,各有一流。清節之流,不能弘恕,好尚譏訶,分別是非,是謂臧否,子夏之徒是也。法家之流,不能創思図遠,而能受一官之任,錯意施巧,是謂伎倆,張敞、趙広漢是也。術家之流,不能創制垂則,而能遭変用権,権智有余,公正不足,是謂智意,陳平、韓安国是也。
書き下し
蓋し人流の業は、十有二なり。清節家有り、法家有り、術家有り、国体有り、器能有り、臧否有り、伎倆有り、智意有り、文章有り、儒学有り、口弁有り、雄傑有り。若し夫れ徳行高妙にして、容止法とすべき、是を清節の家と謂ふ、延陵・晏嬰是れなり。法を建て制を立て、国を彊くし人を富ます、是を法家と謂ふ、管仲・商鞅是れなり。思ひ道化に通じ、策謀奇妙なる、是を術家と謂ふ、范蠡・張良是れなり。兼ねて三材有り、三材皆備はり、其の徳は以て風俗を厲ますに足り、其の法は以て天下を正すに足り、其の術は以て廟勝を謀るに足る、是を国体と謂ふ、伊尹・呂望是れなり。兼ねて三材有り、三材皆微にして、其の徳は以て一国を率ゐるに足り、其の法は以て郷邑を正すに足り、其の術は以て事宜を権るに足る、是を器能と謂ふ、子産・西門豹是れなり。兼ねて三材の別有り、各一流有り。清節の流は、弘恕なること能はず、好んで譏訶を尚び、是非を分別す、是を臧否と謂ふ、子夏の徒是れなり。法家の流は、思ひを創め遠きを図ること能はずして、能く一官の任を受け、意を錯き巧を施す、是を伎倆と謂ふ、張敞・趙広漢是れなり。術家の流は、制を創め則を垂るること能はずして、能く変に遭ひて権を用ゐ、権智余り有りて、公正足らず、是を智意と謂ふ、陳平・韓安国是れなり。
現代語訳
思うに人の流れとしての職業は十二種ある。清節家、法家、術家、国体、器能、臧否(ぞうひ)、伎倆(ぎりょう)、智意、文章、儒学、口弁、雄傑である。徳行が高く優れ、立ち居振る舞いが手本とするに足るもの、これを清節の家といい、延陵季子(えんりょうきし、呉の賢公子)や晏嬰(あんえい、斉の名宰相)がそれである。法を建て制度を立て、国を強くし民を富ませるもの、これを法家といい、管仲(かんちゅう、斉の桓公の宰相)や商鞅(しょうおう、秦の変法を行った政治家)がそれである。思考が道の変化に通じ、策謀が奇抜で巧みなもの、これを術家といい、范蠡(はんれい、越王勾践の参謀)や張良(ちょうりょう、漢の高祖の軍師)がそれである。この三つの才を兼ね、三つとも十分に備わり、その徳は風俗を励ますに足り、その法は天下を正すに足り、その術は朝廷での必勝の計を立てるに足るもの、これを国体といい、伊尹(いいん、殷の湯王の宰相)や呂望(りょぼう、太公望、周の文王・武王の軍師)がそれである。三つの才を兼ねるが、三つとも小ぶりで、その徳は一国を率いるに足り、その法は郷村を正すに足り、その術は事の宜しきを量るに足るもの、これを器能といい、子産(しさん、鄭の名宰相)や西門豹(せいもんひょう、魏の鄴の県令)がそれである。三つの才の分かれとして、それぞれに一つの流れがある。清節の流れで、寛く思いやることができず、そしり咎めることを好み、是非をはっきり分けるもの、これを臧否といい、子夏(しか、孔子の弟子)の仲間がそれである。法家の流れで、独創的に考え遠くを図ることはできないが、一つの官職の任務を引き受け、工夫を凝らして巧みに処理できるもの、これを伎倆といい、張敞(ちょうしょう、前漢の京兆尹)や趙広漢(ちょうこうかん、前漢の京兆尹)がそれである。術家の流れで、制度を創り規範を後世に残すことはできないが、変事に遭えば臨機の策を用いることができ、臨機の知恵は余りあるが公正さが足りないもの、これを智意といい、陳平(ちんぺい、漢の高祖の謀臣)や韓安国(かんあんこく、前漢の御史大夫)がそれである。
解説
関連する章句
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人物志・流業是の故に、主道立てば、則ち十二材各其の任を得るなり。清節の徳は、師氏の任なり。法家の材は、司寇の任なり。術家の材は、三孤の任なり。三材純備なるは、三公の任なり。三材にして微なるは、冢宰の任なり。臧否の材は、師氏の佐なり。智意の材は、冢宰の佐なり。伎倆の材は、司空の任なり。儒学の材は、安民の任なり。文章の材は、国史の任なり。弁給の材は、行人の任なり。驍雄の材は、将帥の任なり。
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『長短経』品目〔徳行高妙、容止法とす可き、是を清節と謂う。延陵・晏嬰是なり。法を建て制を立て、国を強くし人を富ます、是を法家と謂う。管仲・商鞅是なり。思いは道化に通じ、策謀奇妙なる、是を術家と謂う。范蠡・張良是なり。其の徳は以て風俗を厲ますに足り、其の法は以て天下を正すに足り、其の術は以て廟勝を謀るに足る、是を国体と謂う。伊尹・呂望是なり。其の徳は以て一国を率いるに足り、其の治法は以て郷邑を正すに足り、其の術は以て事宜を権るに足る、是を器能と謂う。子産・西門豹是なり。
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人物志・流業能く文を属り著述する、是を文章と謂ふ、司馬遷・班固是れなり。能く聖人の業を伝ふるも、事を幹し政を施すこと能はざる、是を儒学と謂ふ、毛公・貫公是れなり。弁は道に入らざるも、応対資給なる、是を口弁と謂ふ、楽毅・曹丘生是れなり。胆力衆に絶し、才略人に過ぐる、是を驍雄と謂ふ、白起・韓信是れなり。
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『長短経』品目清節の流にして、弘恕なる能わず、譏訶を好み尚び、是非を分別する、是を臧否と謂う。子夏の徒是なり。法家の流にして、創思遠きを図る能わず、而も能く一官の任を受け、意を錯き巧を施す、是を伎倆と為す。張敞・趙広漢是なり。術家の流にして、制を創り則を垂るる能わず、而も能く変に遭いて権を用う。権智余り有りて公正足らざる、是を智意と謂う。陳平・韓安国是なり。能く文を著述する、是を文章と謂う。司馬遷・班固是なり。能く聖人の業を伝えて、而も事を幹し政を施す能わざる、是を儒学と謂う。毛公・貫公是なり。弁は道に入らずして、応対給資なる、是を口弁と謂う。楽毅・曹丘生是なり。胆力は衆に絶し、材略は人に過ぐる、是を驍雄と謂う。白起・韓信是なり」と。〕
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人物志・材能夫れ人材同じからず、能は各異なる有り。自任の能有り、立法使人の能有り、消息弁護の能有り、徳教を以て人に師たるの能、行事使人譴譲の能有り、司察糾摘の能有り、権奇の能有り、威猛の能有り。夫れ能は材より出で、材は量を同じくせず。材能既に殊なれば、政に任ずるも亦異なる。是の故に、自任の能は、清節の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の任、国の為にしては、則ち矯直の政なり。立法の能は、治家の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の任、国の為にしては、則ち公正の政なり。計策の能は、術家の材なり、故に朝に在りては、則ち三孤の任、国の為にしては、則ち変化の政なり。人事の能は、智意の材なり、故に朝に在りては、則ち冢宰の佐、国の為にしては、則ち諧合の政なり。行事の能は、譴譲の材なり、故に朝に在りては、則ち司寇の佐、国の為にしては、則ち督責の政なり。権奇の能は、伎倆の材なり、故に朝に在りては、則ち司空の任、国の為にしては、則ち芸事の政なり。司察の能は、臧否の材なり、故に朝に在りては、則ち師氏の佐、国の為にしては、則ち刻削の政なり。威猛の能は、豪傑の材なり、故に朝に在りては、則ち将帥の任、国の為にしては、則ち厳厲の政なり。
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人物志・流業凡そ此の十二材は、皆人臣の任なり。
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