人物志 / 體別
樸露之人,中疑實𥔿,不戒其實之野直,而以譎為誕,露其誠;是故,可與立信,難與消息。韜譎之人,原度取容,不戒其術之離正,而以盡為愚,貴其虛;是故,可與讚善,難與矯違。
新字:樸露之人,中疑実𥔿,不戒其実之野直,而以譎為誕,露其誠;是故,可与立信,難与消息。韜譎之人,原度取容,不戒其術之離正,而以尽為愚,貴其虚;是故,可与讃善,難与矯違。
書き下し
樸露の人は、中疑実𥔿にして、其の実の野直を戒めずして、譎を以て誕と為し、其の誠を露はす。是の故に、与に信を立つべきも、与に消息し難し。韜譎の人は、原度して容を取り、其の術の正を離るるを戒めずして、尽くすを以て愚と為し、其の虚を貴ぶ。是の故に、与に善を讃ふべきも、与に違を矯め難し。
現代語訳
素朴でありのままをさらけ出す人は、心の内は疑いを知らず実直で硬く、その実直さが粗野でむき出しであることを戒めず、機略を用いることをでたらめとみなして、自分の真心をあらわに示す。だからともに信義を立てることはできても、ともに時勢に応じて伸び縮みすることは難しい。本心を包み隠して策略に富む人は、相手の意向を推し量って気に入られようとし、その術策が正道から離れることを戒めず、誠を尽くすことを愚かとみなして、うわべの虚を貴ぶ。だからともに善を褒めたたえることはできても、ともに過ちを正すことは難しい。
解説
偏材の型の最後に、正直一徹の樸露の人と、本心を隠して策を巡らす韜譎の人を対にする。樸露の人は誠実で信義を立てられるが、駆け引きを嘘と見なして手の内をすべてさらし、状況に応じた出し入れができない。韜譎の人は相手の意を汲んで気に入られるが、誠を尽くすことを愚かと見なし、正道から外れていく。前者は信頼できるが交渉には向かず、後者は人をほめて場を和ませられるが、過ちを正す役は務まらない。劉劭は両者のどちらも中庸から外れた偏材と見る。現代の交渉や社内調整でも、誠実さと柔軟さをどう両立させるかは、常に問われる課題である。
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