人物志 / 九徵
一徵,謂之依似;依似,亂德之類也。一至一違,謂之間雜;間雜,無恒之人也。無恒、依似,皆風人、末流。末流之質,不可勝論,是以略而不概也。
新字:一徴,謂之依似;依似,乱徳之類也。一至一違,謂之間雑;間雑,無恒之人也。無恒、依似,皆風人、末流。末流之質,不可勝論,是以略而不概也。
書き下し
一徴なる、之を依似と謂ふ。依似は、徳を乱るの類なり。一は至り一は違ふ、之を間雑と謂ふ。間雑は、恒無きの人なり。無恒・依似は、皆風人・末流なり。末流の質は、勝げて論ずべからず、是を以て略して概せざるなり。
現代語訳
(徳に)似たしるしが一つだけあるものを依似という。依似は徳を乱す類である。ある時は徳に至り、ある時は外れるものを間雑という。間雑は一定しない人である。無恒と依似はいずれも風俗に流される人、末流である。末流の素質はいちいち論じきれないので、省略して概略も述べない。
解説
中庸・徳行・偏材の下に位置する「依似」と「間雑」を述べる九徵篇の結びである。徳に似たしるしを一つ持つだけの依似は、本物と紛らわしいゆえに徳を乱す。徳に至ったり外れたりする間雑は、一貫性のない人である。劉劭はこれらを末流とし、論じ尽くせないとして省く。自序で孔子が「似たる者は保ち難し」と戒めたことを受けた分類である。見かけだけ有能そうな人や、日によって言動がぶれる人をどう見抜くかは、採用や抜擢の現場でも最も難しい点であり、一度の印象ではなく一貫性を時間をかけて確かめる必要があることを示している。
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人物志・九徵則ち九徵皆至れば、則ち純粹の德なり。九徵に違ふ有れば、則ち偏雜の材なり。
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『長短経』知人〔人物志に曰く「軽諾は烈に似て信寡なく、多易は能に似て効無く、進鋭は精に似て去ること速やかに、訶する者は察に似て事煩わしく、施しを許すは恵に似て終わり無く、面従は忠に似て退けば違う。此れ是に似て非なる者なり。亦た非に似て是なる者有り。大権は姦に似て功有り、大智は愚に似て内は明らかに、博愛は虚に似て実は厚く、正言は訐に似て情は忠なり。天下の至精に非ずんば、孰か能く其の実を得んや」と。〕
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『長短経』知人故に人物志に曰く「清節の人は、正直を以て度と為す。故に其の衆材を歴るや、能く性行の常を識るも、或いは法術の詭を疑う。術謨の人は、思謀を以て度と為す。故に能く策略の奇を識るも、或いは遵法の良を失す。伎倆の人は、功を邀うるを以て度と為す。故に能く進趨の功を識るも、道徳の化に通ぜず。言語の人は、弁折を以て度と為す。故に能く捷給の慧を識るも、含章の美を知らず。是を以て互いに相非駁して、肯えて相是とせず。凡そ此の類は、皆な一流と謂う。故に一流の人は能く一流の善を識り、二流の人は能く二流の美を識る。尽く諸流有らば、則ち亦た能く衆材に兼達せん」と。又た曰く「夫れ名を務むる者は己の後に出づる能わず。是の故に、性同じくして材傾けば、則ち相援けて相頼る。性同じくして勢均しければ、則ち相競いて相害す。此れ又た同体の変なり、察せざる可からず」と。〕
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