人物志 / 九徵
二者之義,蓋陰陽之別也。若量其材質,稽諸五物,五物之徵,亦各著於厥體矣。其在體也,木骨、金筋、火氣、土肌、水血,五物之象也。五物之實,各有所濟。
新字:二者之義,蓋陰陽之別也。若量其材質,稽諸五物,五物之徴,亦各著於厥体矣。其在体也,木骨、金筋、火気、土肌、水血,五物之象也。五物之実,各有所済。
書き下し
二者の義は、蓋し陰陽の別なり。若し其の材質を量らば、諸を五物に稽ふ。五物の徴も、亦各厥の体に著る。其の体に在るや、木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血、五物の象なり。五物の実は、各済す所有り。
現代語訳
(外に明るい者と内に深い者という)二者の意味は、思うに陰陽の違いである。もしその人の材質を量ろうとするなら、五つの物(五行)に照らして考える。五行のしるしもまた、それぞれその身体にあらわれている。身体においては、木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血であり、これが五行のかたちである。五行の実質は、それぞれ役立つところがある。
解説
陰陽の区別に続いて、五行を身体に割り当てる一節である。木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血とし、それぞれのしるしが体にあらわれ、それぞれに役立つ働きがあるという。劉劭はこの後、骨・気・体・筋・色の五つの質を仁・礼・信・義・智の五常に結びつけていく。漢代の医学や相術にも通じる身体観で、今日の目から見れば科学的根拠はない。ただ、人を理解するのに一つの尺度ではなく複数の観点を並べて総合するという発想は、現代の多面的評価にも通じる。どの要素にも固有の働きがあると見る点も、長所の見落としを防ぐ視点として読める。
関連する章句
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人物志・九徵情性の理は、甚だ微にして玄なり、聖人の察に非ずんば、其れ孰か能く之を究めんや。凡そ血気有る者は、元一を含みて以て質と為し、陰陽を稟けて以て性を立て、五行を体して形を著さざるは莫し。苟くも形質有れば、猶ほ即きて之を求むべし。
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『長短経』知人人物志に曰く〔凡そ血気有る者は、陰陽を稟けて以て性を立て、五行を体して形を著さざるは莫し。其の体に在るや、木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血、五物の象なり。五物の実は、各々済す所有り。〕「骨は植にして柔なる者、之を弘毅と謂う。弘毅なる者は仁の質なり。〔木は則ち陰を垂れ、仁の質と為る。質、弘毅ならざれば、仁を成す能わず。〕気は清くして朗なる者、之を文理と謂う。文理なる者は礼の本なり。〔火は則ち照察し、礼の本と為る。本に文理無ければ、礼を成す能わず。〕体は端にして実なる者、之を貞固と謂う。貞固なる者は信の基なり。〔土は必ず生を吐き、信の基と為る。基、貞固ならざれば、信を成す能わざるなり。〕筋は勁くして精なる者、之を勇敢と謂う。勇敢なる者は義の決なり。〔金は能く断割し、義の決と為る。決、勇敢ならざれば、義を成す能わざるなり。〕色は平らかにして暢なる者、之を通微と謂う。通微なる者は智の原なり。〔水は流れて疏達し、智の原と為る。原、通微ならざれば、智を成す能わず。〕
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人物志・九徵気清くして朗らかなる者、之を文理と謂ふ。文理なる者は、礼の本なり。体端しくして実なる者、之を貞固と謂ふ。貞固なる者は、信の基なり。筋勁くして精なる者、之を勇敢と謂ふ。勇敢なる者は、義の決なり。色平らかにして暢びやかなる者、之を通微と謂ふ。通微なる者は、智の原なり。五質は恒の性なり、故に之を五常と謂ふ。五常の別、列して五徳と為す。是の故に温直にして擾毅なるは、木の徳なり。剛塞にして弘毅なるは、金の徳なり。愿恭にして理敬なるは、水の徳なり。寛栗にして柔立なるは、土の徳なり。簡暢にして明砭なるは、火の徳なり。体の変は窮まり無しと雖も、猶ほ五質に依る。故に其の剛・柔・明・暢・貞固の徴は、形容に著れ、声色に見れ、情味に発し、各其の象の如し。故に心質亮直なれば、其の儀勁固なり。心質休決なれば、其の儀進猛なり。心質平理なれば、其の儀安閑なり。夫れ儀動きて容を成し、各態度有り。直容の動は、矯矯行行たり。休容の動は、業業蹌蹌たり。徳容の動は、顒顒卬卬たり。夫れ容の動作は、心気に発す。心気の徴は、則ち声の変是れなり。夫れ気合して声を成し、声は律呂に応ず。和平の声有り、清暢の声有り、回衍の声有り。夫れ声気に暢ぶれば、則ち実は貌色に存す。
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人物志・九徵是の故に中庸の質は此の類に異なる。五常既に備はり、包むに澹味を以てす。五質内に充ち、五精外に章らかなり、是を以て目は五暉の光を彩る。故に曰く、物生じて形有り、形に神精有り。能く精神を知らば、則ち理を窮め性を尽くす。性の尽くす所は、九質の徴なり。然らば則ち平陂の質は神に在り、明暗の実は精に在り、勇怯の勢は筋に在り、彊弱の植は骨に在り、躁静の決は気に在り、惨懌の情は色に在り、衰正の形は儀に在り、態度の動は容に在り、緩急の状は言に在り。其の人と為りや、質素平澹、中叡外朗、筋勁く植固く、声清く色懌び、儀正しく容直く、
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人物志・九徵猶ほ火日の外を照らして、內を見る能はず、金水の內に映じて、外に光る能はざるがごとし。
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『長短経』察相夫れ木は春を主る、生長の行なり。〔春は肝を主り、肝は目を主り、目は仁を主る。生長敷栄する者は、恕恵を施し与うるの意なり。〕火は夏を主る、豊盛の時なり。〔夏は心を主り、心は舌を主り、舌は礼を主る。豊盛殷阜なる者は、富博宏通の義なり。〕金は秋を主る、収蔵の節なり。〔秋は肺を主り、肺は鼻を主り、鼻は義を主る。収蔵聚斂する者は、吝嗇慳鄙の情なり。〕水は冬を主る、万物伏匿の日なり。〔冬は腎を主り、腎は耳を主り、耳は智を主る。伏匿隠蔽する者は、邪諂奸佞の懐なり。〕土は季夏を主る、万物結実の月なり。〔季夏は脾を主り、脾は唇を主り、唇は信を主る。結実堅確なる者は、貞信謹厚の理なり。〕故に曰く、凡そ人の眉目を美とし、指爪を好くする者は、庶幾くは施しを好む人なり。
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