人物志 / 九徵
情性之理,甚微而玄,非聖人之察,其孰能究之哉?凡有血氣者,莫不含元一以為質,稟陰陽以立性,體五行而著形,苟有形質,猶可即而求之。
新字:情性之理,甚微而玄,非聖人之察,其孰能究之哉?凡有血気者,莫不含元一以為質,稟陰陽以立性,体五行而著形,苟有形質,猶可即而求之。
書き下し
情性の理は、甚だ微にして玄なり、聖人の察に非ずんば、其れ孰か能く之を究めんや。凡そ血気有る者は、元一を含みて以て質と為し、陰陽を稟けて以て性を立て、五行を体して形を著さざるは莫し。苟くも形質有れば、猶ほ即きて之を求むべし。
現代語訳
感情と本性の道理は、きわめて微妙で奥深い。聖人の洞察でなければ、いったい誰がこれを究められようか。およそ血と気を持つ者(人間)はみな、根源の一気を含んで素質とし、陰陽を受けて本性を立て、五行(木・火・土・金・水)を身に体して形をあらわしている。かりにも形と素質があるのなら、それに即して(その人の内面を)探り求めることができる。
解説
九徵篇の冒頭で、人間観察の前提を示す一節である。情と性の道理は奥深く聖人でなければ究めがたいが、人は元気・陰陽・五行から成り立っている以上、外に現れた形と質を手がかりに内面を推し量ることができる、と劉劭は言う。漢代以来の陰陽五行思想を人物鑑定に応用したもので、九品官人法の下で人物を品評する者に、見えるものから見えないものを推す方法を与えようとした。今の言葉で言えば、心は直接見えなくても、表情・言動・振る舞いという観察可能な事実から推論できるという立場であり、面接や部下理解の出発点にもなる考え方である。
関連する章句
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人物志・九徵二者の義は、蓋し陰陽の別なり。若し其の材質を量らば、諸を五物に稽ふ。五物の徴も、亦各厥の体に著る。其の体に在るや、木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血、五物の象なり。五物の実は、各済す所有り。
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人物志・九徵気清くして朗らかなる者、之を文理と謂ふ。文理なる者は、礼の本なり。体端しくして実なる者、之を貞固と謂ふ。貞固なる者は、信の基なり。筋勁くして精なる者、之を勇敢と謂ふ。勇敢なる者は、義の決なり。色平らかにして暢びやかなる者、之を通微と謂ふ。通微なる者は、智の原なり。五質は恒の性なり、故に之を五常と謂ふ。五常の別、列して五徳と為す。是の故に温直にして擾毅なるは、木の徳なり。剛塞にして弘毅なるは、金の徳なり。愿恭にして理敬なるは、水の徳なり。寛栗にして柔立なるは、土の徳なり。簡暢にして明砭なるは、火の徳なり。体の変は窮まり無しと雖も、猶ほ五質に依る。故に其の剛・柔・明・暢・貞固の徴は、形容に著れ、声色に見れ、情味に発し、各其の象の如し。故に心質亮直なれば、其の儀勁固なり。心質休決なれば、其の儀進猛なり。心質平理なれば、其の儀安閑なり。夫れ儀動きて容を成し、各態度有り。直容の動は、矯矯行行たり。休容の動は、業業蹌蹌たり。徳容の動は、顒顒卬卬たり。夫れ容の動作は、心気に発す。心気の徴は、則ち声の変是れなり。夫れ気合して声を成し、声は律呂に応ず。和平の声有り、清暢の声有り、回衍の声有り。夫れ声気に暢ぶれば、則ち実は貌色に存す。
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『長短経』知人人物志に曰く〔凡そ血気有る者は、陰陽を稟けて以て性を立て、五行を体して形を著さざるは莫し。其の体に在るや、木は骨、金は筋、火は気、土は肌、水は血、五物の象なり。五物の実は、各々済す所有り。〕「骨は植にして柔なる者、之を弘毅と謂う。弘毅なる者は仁の質なり。〔木は則ち陰を垂れ、仁の質と為る。質、弘毅ならざれば、仁を成す能わず。〕気は清くして朗なる者、之を文理と謂う。文理なる者は礼の本なり。〔火は則ち照察し、礼の本と為る。本に文理無ければ、礼を成す能わず。〕体は端にして実なる者、之を貞固と謂う。貞固なる者は信の基なり。〔土は必ず生を吐き、信の基と為る。基、貞固ならざれば、信を成す能わざるなり。〕筋は勁くして精なる者、之を勇敢と謂う。勇敢なる者は義の決なり。〔金は能く断割し、義の決と為る。決、勇敢ならざれば、義を成す能わざるなり。〕色は平らかにして暢なる者、之を通微と謂う。通微なる者は智の原なり。〔水は流れて疏達し、智の原と為る。原、通微ならざれば、智を成す能わず。〕
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人物志・九徵蓋し人物の本は、情性に出づ。
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人物志・九徵是の故に中庸の質は此の類に異なる。五常既に備はり、包むに澹味を以てす。五質内に充ち、五精外に章らかなり、是を以て目は五暉の光を彩る。故に曰く、物生じて形有り、形に神精有り。能く精神を知らば、則ち理を窮め性を尽くす。性の尽くす所は、九質の徴なり。然らば則ち平陂の質は神に在り、明暗の実は精に在り、勇怯の勢は筋に在り、彊弱の植は骨に在り、躁静の決は気に在り、惨懌の情は色に在り、衰正の形は儀に在り、態度の動は容に在り、緩急の状は言に在り。其の人と為りや、質素平澹、中叡外朗、筋勁く植固く、声清く色懌び、儀正しく容直く、
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人物志・八觀八観とは、一に曰く、其の奪救を観て、以て間雑を明らかにす。二に曰く、其の感変を観て、以て常度を審らかにす。三に曰く、其の志質を観て、以て其の名を知る。四に曰く、其の所由を観て、以て依似を弁ず。五に曰く、其の愛敬を観て、以て通塞を知る。六に曰く、其の情機を観て、以て恕惑を弁ず。
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