人物志 / 九徵
聰明者,陰陽之精,陰陽清和,則中叡外明。聖人淳耀,能兼二美,知微知章,自非聖人,莫能兩遂。
新字:聰明者,陰陽之精,陰陽清和,則中叡外明。聖人淳耀,能兼二美,知微知章,自非聖人,莫能両遂。
書き下し
聡明なる者は、陰陽の精なり、陰陽清和なれば、則ち中叡にして外明なり。聖人は淳耀にして、能く二美を兼ね、微を知り章を知る。聖人に非ざる自りは、能く両つながら遂ぐる莫し。
現代語訳
聡明とは陰陽の精髄である。陰陽が清らかに調和していれば、内には深い叡智があり、外には明らかな見通しがある。聖人は純粋に輝いて、この二つの美点を兼ね備え、かすかな兆しも知り、あらわな事柄も知る。聖人でなければ、この両方を成し遂げられる者はいない。
解説
聡明を陰陽の精とし、陰陽が清らかに調和すれば内に叡智、外に明察が生まれると説く。聖人はこの二つを兼ね、微かな兆しと明らかな事実の両方を見通すが、聖人以外はどちらかに偏る、と劉劭は言う。直後に、明白な人は動きの機を捉えるが深い思慮に暗く、思慮深い人は静の根源を知るが速さに欠けると続き、陰陽の偏りとして人の知性の型を分ける。現代でも、即断即決に長けた人と、じっくり考える人とがいる。両方を一人に求めるのは難しいと知ったうえで、組み合わせて用いるのが人を使う側の知恵である。
関連する章句
-
人物志・九徵是の故に中庸の質は此の類に異なる。五常既に備はり、包むに澹味を以てす。五質内に充ち、五精外に章らかなり、是を以て目は五暉の光を彩る。故に曰く、物生じて形有り、形に神精有り。能く精神を知らば、則ち理を窮め性を尽くす。性の尽くす所は、九質の徴なり。然らば則ち平陂の質は神に在り、明暗の実は精に在り、勇怯の勢は筋に在り、彊弱の植は骨に在り、躁静の決は気に在り、惨懌の情は色に在り、衰正の形は儀に在り、態度の動は容に在り、緩急の状は言に在り。其の人と為りや、質素平澹、中叡外朗、筋勁く植固く、声清く色懌び、儀正しく容直く、
-
人物志・八觀聖の称たるは、明智の極明なればなり。是の故に、其の聡明を観て、達する所の材知るべきなり。
-
人物志・九徵故に明白の士は、動の機に達すれども、玄慮に暗く、玄慮の人は、靜の原を識れども、速捷に困しむ。
-
人物志・九徵是の故に人を觀て質を察するには、必ず先ず其の平淡を察し、而る後に其の聰明を求む。
-
人物志・九徵夫れ色の貌に見るる、所謂徴神なり。徴神貌に見るれば、則ち情は目に発す。故に仁目の精は愨然として以て端しく、勇胆の精は、曄然として以て彊し。然れども皆偏至の材にして、勝体を以て質と為す者なり。故に勝質精ならざれば、則ち其の事遂げず。
-
人物志・自序夫れ聖賢の美とする所、聰明より美なるは莫く、聰明の貴ぶ所、知人より貴きは莫し。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る