囲炉夜話 / 第二百二十則・子孫に恒業を習ふを教ふ
與其使鄉黨有譽言,不如令鄉黨無怨言。 與其為子孫謀產業,不如教子孫習恒業。
新字:与其使郷党有誉言,不如令郷党無怨言。 与其為子孫謀産業,不如教子孫習恒業。
書き下し
其の鄉黨をして譽言有らしめんよりは、鄉黨をして怨言無からしむるに如かず。 其の子孫の為に產業を謀らんよりは、子孫に恒業を習ふを教ふるに如かず。
現代語訳
郷里の人々に褒め言葉を言われるようにするよりも、郷里の人々に恨み言を言われないようにするほうがよいのです。子孫のために財産を用意してやるよりも、子孫に決まった仕事を身につけるよう教えるほうがよいのです。
解説
評判と相続について、目指すべき所を置き直す対句です。上の句は、郷党、つまり地元の人々から褒められることを求めるより、誰からも恨まれないことを求めよと言います。褒められようとすれば無理や見栄が生まれますが、恨まれないようにするには日々の公正さで足ります。下の句は、子孫のために財産を残すより、子孫が自分で生きていける恒業を身につけさせよと言います。財は使えば尽きますが、身についた仕事は失われません。どちらも目立つものより確かなものを選べという教えで、家業の承継や子の教育を考えるときに立ち返りたい句です。
この章句が説くこと
恒業家訓相続評判処世
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