囲炉夜話 / 第百八十三則・專ら子孫に利を謀るを教ふ
縱容子孫偷安,其後必至耽酒色而敗門庭。 專教子孫謀利,其後必至爭貲財而傷骨肉。
新字:縦容子孫偸安,其後必至耽酒色而敗門庭。 専教子孫謀利,其後必至争貲財而傷骨肉。
書き下し
子孫の偸安を縱容すれば、其の後必ず酒色に耽りて門庭を敗るに至る。 專ら子孫に利を謀るを教ふれば、其の後必ず貲財を爭ひて骨肉を傷つくるに至る。
現代語訳
子孫が楽をして怠けるのを放っておけば、後には必ず酒と色に溺れて家を滅ぼすことになります。子孫にもっぱら利益を得ることばかりを教えれば、後には必ず財産を争って肉親を傷つけることになります。
解説
子育ての二つの誤りが、それぞれどんな結末を招くかを示す対句です。偸安とは、目先の楽をむさぼって怠けることです。子孫を甘やかしてそれを許せば、やがて酒色に溺れて門庭、つまり家そのものを傾けると言います。下の句は、逆に熱心すぎる誤りです。儲けることだけを教え込めば、その子らは親の財産をめぐって争い、兄弟親族の仲を裂くことになると言います。放任は怠惰を生み、利の教育は争いを生むという二つの道筋が、はっきり描かれています。子に何を残すかより、どんな心を育てるかが家の行く末を決めるという家訓です。
この章句が説くこと
家訓子孫相続利欲教育
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