囲炉夜話 / 第百二十五則・家を傳ふるには勤儉の意を得れば便ち佳し
處世以忠厚人為法。傳家得勤儉意便佳。
新字:処世以忠厚人為法。伝家得勤倹意便佳。
書き下し
世に處するには忠厚の人を以て法と爲す。家を傳ふるには勤儉の意を得れば便ち佳し。
現代語訳
世渡りでは、誠実で情に厚い人を手本とします。家を伝えるには、勤勉と倹約の心を受け継げばそれでよいのです。
解説
世渡りの手本と家を伝える要点を、それぞれ一語に絞った短い則です。前半は、世の中を渡るには、才気にあふれた人やうまく立ち回る人ではなく、忠厚、つまり誠実で人情の厚い人を手本にせよと言います。後半は、家を後の代に伝えるには、財産や家屋よりも、勤倹の意、つまり勤勉と倹約の精神を受け継がせればよいと言います。意という字に、形ではなく心構えを伝えるという含みがあります。前半は自分の生き方、後半は次の代への渡し方で、どちらも派手さのない地道な徳を選んでいる点で一致します。今日でも、世渡りのうまい人を真似るより、誠実な人を手本にする方が長く信頼されますし、子に遺すなら資産より働き方と暮らし方の姿勢の方が役に立ちます。
この章句が説くこと
忠厚勤倹家訓処世手本
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