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囲炉夜話 / 第八十三則・積善の家には必ず餘慶有り

積善之家必有餘慶,積不善之家必有餘殃,可知積善以遺子孫,其謀甚遠也。 賢而多財則損其志,愚蠢而多財則益其過,可知積財以遺子孫,其害無窮也。

新字:積善之家必有余慶,積不善之家必有余殃,可知積善以遺子孫,其謀甚遠也。 賢而多財則損其志,愚蠢而多財則益其過,可知積財以遺子孫,其害無窮也。

書き下し

積善の家には必ず餘慶有り、積不善の家には必ず餘殃有り、善を積みて以て子孫に遺すは、其の謀甚だ遠きことを知るべきなり。 賢にして財多ければ則ち其の志を損し、愚蠢にして財多ければ則ち其の過ちを益す、財を積みて以て子孫に遺すは、其の害窮まり無きことを知るべきなり。

現代語訳

善を積む家には必ず子孫に及ぶ喜びがあり、不善を積む家には必ず子孫に及ぶ災いがあります。だから善を積んで子孫に遺すことは、その計らいがたいへん遠くまで及ぶとわかります。賢い者が財産を多く持てばその志をそこない、愚かな者が財産を多く持てばその過ちを増やします。だから財産を積んで子孫に遺すことは、その害が限りないとわかります。

解説

子孫に何を遺すかをめぐって、善と財産を対比させた則です。前半は易経の坤の文言伝にある有名な言葉を引き、善を遺すことこそ遠い先まで効く計らいだと言います。後半は漢書の疏広伝に見える言葉で、財産は賢い子の志を鈍らせ、愚かな子の過ちを大きくするというものです。つまり財産は、子の出来が良くても悪くても害になるという厳しい見方です。二つの古典を組み合わせることで、善は残せば残すほど益になり、財は残せば残すほど害になる、という鮮やかな対比ができあがっています。今日でも、相続をめぐる争いや、苦労知らずの二代目のつまずきはよく耳にします。子や後輩に遺すべきは、資産の額よりも、善い行いの習慣と志であるという考えは、形を変えて今も通用します。

この章句が説くこと

積善余慶家訓因果財産

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