囲炉夜話 / 第二百十四則・只だ一の讓の字を講ず
為善之端無盡,只講一讓字,便人人可行。 立身之道何窮,只得一敬字,便事事皆整。
新字:為善之端無尽,只講一譲字,便人人可行。 立身之道何窮,只得一敬字,便事事皆整。
書き下し
善を為すの端は盡くる無し、只だ一の讓の字を講ぜば、便ち人人行ふ可し。 身を立つるの道は何ぞ窮まらん、只だ一の敬の字を得ば、便ち事事皆な整ふ。
現代語訳
善を行う糸口は限りがありませんが、ただ「譲」の一字を心がければ、誰でも行うことができます。身を立てる道はどこまでも尽きませんが、ただ「敬」の一字を身につければ、何事もみな整います。
解説
限りない善と立身の道を、それぞれ一字に絞り込む対句です。善を行う道は数えきれないほどありますが、その中から誰にでもできるものとして譲を挙げます。道を譲る、席を譲る、手柄を譲るなど、財も才もなくても今日からできる善だからです。下の句は、身を立てる道も果てしないけれど、敬の一字を得れば何事も整うと言います。敬とは、人を敬うことと、自分の心を引き締めて事に当たることの両方を含みます。譲は人との間を和らげ、敬は自分の内を整えるものです。大きな善を志して動けなくなるより、今日一つ譲ることから始めよという、やさしい入口です。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
謙譲敬積善立身修身
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