囲炉夜話 / 第二百八則・總て勢利の氣有る可からず
無論作何等人,總不可有勢利氣。 無論習何等業,總不可有粗浮心。
新字:無論作何等人,総不可有勢利気。 無論習何等業,総不可有粗浮心。
書き下し
何等の人と作るを論ずる無く、總て勢利の氣有る可からず。 何等の業を習ふを論ずる無く、總て粗浮の心有る可からず。
現代語訳
どのような人になるにしても、権勢や利益におもねる気風を持ってはいけません。どのような仕事を学ぶにしても、雑で浮ついた心を持ってはいけません。
解説
立場や職業を問わず、誰にでも当てはまる二つの戒めを並べた対句です。勢利の気とは、権勢のある人にはへつらい、利のない人には冷たくする、損得で態度を変える気風のことです。どんな身分の人になるにしても、これだけは持つなと言います。下の句の粗浮の心とは、雑で浮ついた、落ち着きのない心です。どんな業を学ぶにしても、これでは身につかないと言います。上は人への態度、下は仕事への態度で、どちらも「無論」、つまりどんな場合でもという言葉で始め、例外を認めない強さがあります。相手の肩書きで話し方を変えていないかを点検したくなります。
この章句が説くこと
勢利軽薄処世修身勤勉
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