囲炉夜話 / 第二百六則・飲食に節有り男女に別有り
飲食男女,人之大欲存焉,然人欲既勝天理或亡。 故有道之士,必使飲食有節,男女有別。
書き下し
飲食男女は、人の大欲存す、然れども人欲既に勝てば天理或いは亡ぶ。 故に有道の士は、必ず飲食をして節有らしめ、男女をして別有らしむ。
現代語訳
飲食と男女のことには、人の大きな欲望があります。けれども人の欲が勝ってしまうと、天の理は失われてしまうことがあります。だから道を身につけた人は、必ず飲食には節度を持たせ、男女には区別を持たせるのです。
解説
人の根本的な欲望と、それを整える工夫を説く則です。最初の一句は『礼記』礼運篇の「飲食男女は、人の大欲存す」をそのまま引いています。食べることと男女の結びつきは、人が生きて続いていくための欲であり、それ自体を否定してはいません。問題は、人欲が天理、つまり人としての本来の道理に勝ってしまうことです。そこで道を心得た人は、飲食には節度を、男女には礼による区別を設けると言います。欲をなくせと言うのではなく、欲に形と節目を与えて暮らしを整えるという、儒学らしい現実的な考え方です。
この章句が説くこと
節度人欲天理礼記修身
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