囲炉夜話 / 第百九十九則・立言は立功立德と並び傳はる
有守雖無所展布,而其節不撓,故與有猷有為而並重。 立言即未經起行,而於人有益,故與立功立德而並傳。
新字:有守雖無所展布,而其節不撓,故与有猷有為而並重。 立言即未経起行,而於人有益,故与立功立徳而並伝。
書き下し
守有りて展布する所無しと雖も、而も其の節撓まず、故に猷有り為有ると並びて重んぜらる。 立言は即ひ未だ起行を經ずとも、而も人に於いて益有り、故に立功立德と並びて傳はる。
現代語訳
節操を守る人は、才能を大きく広げる場がなくても、その節操は曲がりません。だから、謀りごとのある人や実行力のある人と並んで重んじられます。言葉を立てて書き残すことは、まだ実行に移されていなくても、人にとって益があります。だから、功績を立てることや徳を立てることと並んで後世に伝わるのです。
解説
目立たない二つの働きの価値を認める対句です。上の句は『書経』洪範の「猷有り、為有り、守有り」を踏まえます。猷は謀りごと、為は実行力、守は節操を守ることです。節操を守るだけの人は華々しい成果を出さないかもしれませんが、その曲がらなさによって、才ある人や行う人と同じく重んじられると言います。下の句は『春秋左氏伝』の三不朽、つまり立徳・立功・立言を踏まえ、言葉を残すことは、すぐに実行されなくても人を益するので後世に伝わると言います。守る役や書き残す役の値打ちを、改めて教えてくれる句です。
この章句が説くこと
節操立言三不朽書経修身
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