囲炉夜話 / 第十八則・人品心術は史官を瞞き過ぐす能はず
謾誇富貴顯榮,功德文章,要可傳諸後世。 任教聲名暄赫,人品心術,不能瞞過史官。
新字:謾誇富貴顕栄,功徳文章,要可伝諸後世。 任教声名暄赫,人品心術,不能瞞過史官。
書き下し
謾りに富貴顯榮を誇るも、功德文章は、要ず諸を後世に傳ふべし。 任教、聲名は暄赫たるも、人品心術は、史官を瞞き過ぐす能はず。
現代語訳
富や地位や栄誉をむやみに誇っても仕方がありません。功績と徳、そして文章こそが、つまるところ後世に伝えられるものです。たとえ名声がとどろいていても、人柄や心の持ち方は、歴史を記す役人の目をごまかすことはできません。
解説
後世に残るものと、ごまかせないものを並べた対句です。謾は口語で、むやみに、あるいは誇るなかれという気持ちを表します。富貴や栄華は一代で消えますが、人のためになした功徳や書き残した文章は後の世まで伝わります。後半の史官は歴史を記録する役人で、中国では人の生涯がのちに史書で評価されるという意識が強くありました。声名がどれほど華やかでも、人品や心術、すなわち人柄と心の使い方は、いずれ記録の中で明らかになります。今日でも、肩書きより何を残したか、評判より実際どう振る舞ったかが、最後に問われるのです。
この章句が説くこと
名声人品功徳後世修身
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