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囲炉夜話 / 第百九十五則・憂は事に先んず

憂先於事,故能無憂,事至而憂無救於事。 此唐使李絳語也。其警人之意深矣,可書以揭諸座右。

新字:憂先於事,故能無憂,事至而憂無救於事。 此唐使李絳語也。其警人之意深矣,可書以掲諸座右。

書き下し

憂事に先んず、故に能く憂ひ無し、事至りて憂ふるは事に救ひ無し。 此れ唐使李絳の語なり。其の人を警むるの意深し、書して以て諸を座右に揭ぐ可し。

現代語訳

心配を事が起こる前にしておくから、心配がなくなるのです。事が起こってから心配しても、事を救うことはできません。これは唐の李絳の言葉です。人を戒める意味が深いので、書いて座右に掲げておくとよいでしょう。

解説

唐の李絳の言葉を引き、座右の銘として勧める則です。要点は、憂いの順番にあります。事が起こる前に憂えて備えておけば、実際には憂うべき事態にならずに済みます。反対に、事が起きてから慌てて憂えても、もはや何の助けにもならないと言います。心配性を勧めているのではなく、心配を前倒しにして準備に変えよという教えです。著者自身がこれを書いて座右に掲げよと添えているところに、炉辺で子らに語る口ぶりがよく出ています。計画の段階で失敗の筋書きを洗い出しておく、という今の仕事の進め方にもそのまま通じる言葉です。

この章句が説くこと

備え先見座右憂患処世

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