囲炉夜話 / 第百八十九則・萬種の艱辛は偉人を出だす
一室閑居,必常懷振卓心,才有生氣。 同人聚處,須多說切直話,方見古風。 一生快活皆庸福。萬種艱辛出偉人。
新字:一室閑居,必常懐振卓心,才有生気。 同人聚処,須多説切直話,方見古風。 一生快活皆庸福。万種艱辛出偉人。
書き下し
一室に閑居するも、必ず常に振卓の心を懷きて、才かに生氣有り。 同人と聚處するには、須らく多く切直の話を說くべし、方めて古風を見る。 一生の快活は皆な庸福なり。萬種の艱辛は偉人を出だす。
現代語訳
一部屋にひっそり暮らしていても、いつも奮い立つ心を抱いていてこそ、生き生きとした気力が保たれます。仲間と集まるときには、率直で切実な話を多くすべきで、そうしてこそ昔の人の気風が見られます。一生が楽しく気楽なのは、みな平凡な幸せにすぎません。さまざまな辛苦からこそ、偉い人は生まれます。
解説
一人のとき、仲間といるとき、一生を通して、という三つの場面を並べた則です。振卓とは、奮い立って高く抜きん出ようとする心です。閑居していても、その心を失わなければ気力は枯れないと言います。仲間と集まれば、世辞や雑談ではなく、切直、つまり率直で心に迫る話をせよと言い、それが古人の気風だとします。最後の一対は、一生を楽に過ごすのは庸福、つまり平凡な幸福にすぎず、偉人は多くの辛苦の中から出ると結びます。一人でも仲間とでも気を緩めず、苦労を避けないことが人を大きくする、という流れで読めます。
この章句が説くこと
艱難気力友修身偉人
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