囲炉夜話 / 第十七則・顯達の士は多く寒門より出づ
每見勤苦之人,絕無癆疾。顯達之士多出寒門。此亦盈虛消長之機,自然之理也。
新字:毎見勤苦之人,絶無癆疾。顕達之士多出寒門。此亦盈虚消長之機,自然之理也。
書き下し
每に見るに勤苦の人は、絕えて癆疾無し。顯達の士は多く寒門より出づ。此れも亦た盈虛消長の機、自然の理なり。
現代語訳
いつも見ていると、骨身を惜しまず働く人には、少しも癆病(体が衰える病)がありません。立身出世した人は多く貧しい家の出です。これもまた満ち欠けと盛衰の変わり目で、自然の道理です。
解説
苦労と繁栄の関係を、月の満ち欠けになぞらえて述べた一則です。癆疾は、体が弱り痩せ衰える病、とくに肺病を指す語です。体を動かして働く人はかえって病に倒れにくいと、著者は自分の見聞として語ります。また顕達、すなわち高い地位に上った人の多くが寒門、貧しい家から出ていることを挙げます。盈虚消長は、満ちれば欠け、欠ければ満ちるという循環のことで、苦しさの中に次の盛りの種があるという見方です。今が恵まれない境遇でも、それを嘆くより勤め励むことが、やがて満ちる力になると励ます言葉として読めます。
この章句が説くこと
勤勉寒門盈虚処世勤倹
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