囲炉夜話 / 第百八十五則・好き光陰、錯過する莫かれ
矮板凳,且坐著。好光陰,莫錯過。
書き下し
矮き板凳、且く坐著せよ。好き光陰、錯過する莫かれ。
現代語訳
低い腰掛けでも、まずは座っていなさい。良い時間を、むだに過ごしてはいけません。
解説
語りかけるような口語で書かれた、この書でも特に短い句です。矮板凳とは低い木の腰掛けのことで、粗末な腰掛けでもまずは腰を落ち着けよと言います。炉を囲む夜、子や孫に向かって、さあ座りなさいと声をかける情景が浮かびます。そこからすぐに、よい時は見過ごすなと続けます。錯過とは、取り逃がす、やり過ごすことです。立派な席や条件がそろうのを待つのではなく、今いる場所に腰を据えて、今の時間を大切に使えという教えとして読めます。環境が整うまで始めない、という先送りの癖に対する、やさしく実際的な戒めです。
この章句が説くこと
光陰勤勉処世先送り家訓
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