囲炉夜話 / 第百六十五則・恒業有りて放心を收む
人生不可安閑,有恒業,才足收放心。 日用必須簡省。杜奢端,即以昭儉德。
新字:人生不可安閑,有恒業,才足収放心。 日用必須簡省。杜奢端,即以昭倹徳。
書き下し
人生は安閑たる可からず、恒業有りて、才かに放心を收むるに足る。 日用は必ず簡省を須ふ。奢端を杜ぐは、即ち以て儉德を昭かにす。
現代語訳
人生はのんびりと遊んでいてはいけません。決まった仕事があってこそ、散らばった心を取り戻すことができます。日々の費えは必ず簡素にすべきです。贅沢の芽を塞ぐことが、そのまま倹約の徳を明らかにすることになります。
解説
時間の使い方とお金の使い方を並べた対句です。放心とは『孟子』告子篇の言葉で、本来の善い心が外へさまよい出てしまった状態を言います。孟子は学問の道はその心を求め戻すことだと説きましたが、ここでは日々の決まった仕事こそがその役を果たすとされます。下の句の奢端とは、贅沢の糸口、つまり小さな見栄や買い癖のことで、それを初めのうちに塞ぐことが倹約の徳だと言います。暇を持て余すと心が散り、出費が緩むと徳が崩れる。毎日の習慣と家計を整えることが、そのまま心を整えることになるという教えです。
この章句が説くこと
恒業勤倹放心倹約処世
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