囲炉夜話 / 第百八十則・好人と作り好心を存す
在世無過百年,總要作好人、存好心,留個後代榜樣。 謀生各有恒業,那得管閑事、說閑話,荒我正經工夫。
新字:在世無過百年,総要作好人、存好心,留個後代榜様。 謀生各有恒業,那得管閑事、説閑話,荒我正経工夫。
書き下し
世に在るは百年に過ぐる無し、總て好人と作り、好心を存し、個の後代の榜樣を留むるを要す。 生を謀るは各々恒業有り、那ぞ閑事を管し、閑話を說きて、我が正經の工夫を荒むるを得ん。
現代語訳
この世にいられるのは百年にも満ちません。何よりも善い人となり、善い心を持って、後の世代の手本を残さなければなりません。暮らしを立てるには、それぞれ決まった仕事があります。どうして余計なことに口を出し、無駄話をして、自分の本来の務めをおろそかにしてよいでしょうか。
解説
人生の短さから、何に時間を使うべきかを導く対句です。上の句は、百年に満たない一生だからこそ、善い人となり善い心を持って、子や孫の手本を残せと言います。榜様とは手本、模範のことです。下の句は、それぞれに本業がある以上、他人の事に首を突っ込んだり噂話をしたりして、正経の工夫、つまり本来の務めへの努力を荒らしてはならないと言います。上の句が残すべきもの、下の句が削るべきものを示しています。短い人生で大きなものを残すには、まず小さな無駄を削ることからだという順序です。
この章句が説くこと
恒業手本閑話処世家訓
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