囲炉夜話 / 第百六十六則・自ら一の吃飯の本領を謀る
人生境遇無常,須自謀一吃飯本領。 人生光陰易逝,要早定一成器日期。
書き下し
人生の境遇は常無し、須らく自ら一の吃飯の本領を謀るべし。 人生の光陰は逝き易し、要ず早く一の成器の日期を定むべし。
現代語訳
人生の境遇には定まりがありません。自分で食べていけるだけの腕を一つ身につけておかなければなりません。人生の時間は過ぎ去りやすいものです。早めに、一人前になる期日を定めておかなければなりません。
解説
暮らしの備えと時間の備えを一対にした句です。吃飯の本領とは、飯を食うための腕前、つまり自力で生計を立てる技能を言う口語です。境遇はいつ変わるか分からないので、家や親の財に頼らず、自分の腕を一つ持てと言います。成器とは器が出来上がること、人として一人前になることです。その期日を早く決めよというのは、目標に締め切りを設けよということです。上の句は変化への備え、下の句は時間への備えで、どちらも先送りを戒めています。転職や独立が珍しくなくなった今こそ、実感をもって読める句です。
この章句が説くこと
自立技能光陰目標処世
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