囲炉夜話 / 第百八十二則・耕讀何ぞ兼營を妨げん
聰明勿使外散,古人有纊以塞耳,旒以蔽目者矣。 耕讀何妨兼營,古人有出而負耒,入而橫經者矣。
新字:聰明勿使外散,古人有纊以塞耳,旒以蔽目者矣。 耕読何妨兼営,古人有出而負耒,入而横経者矣。
書き下し
聰明は外に散ぜしむる勿かれ、古人に纊以て耳を塞ぎ、旒以て目を蔽ふ者有り。 耕讀何ぞ兼營を妨げん、古人に出でては耒を負ひ、入りては經を橫たふる者有り。
現代語訳
耳目の聡さを外へ散らしてはいけません。昔の人には、冠に綿の玉を垂らして耳をふさぎ、玉の飾りを垂らして目を覆った者がいました。耕すことと読むことを両方営んで何の差し支えがあるでしょうか。昔の人には、外に出ては鋤を背負って畑を耕し、家に入っては経書を広げて読んだ者がいました。
解説
心の集中と暮らしの両立を、古人の例で示す対句です。纊は綿の玉、旒は冠の前に垂らす玉の飾りで、冠の耳の脇に綿を垂らし、目の前に玉を垂らすのは、余計なことを聞きすぎ見すぎないためだと言われます。聡明、つまり耳目の働きを外に散らさず、内に保てという教えです。下の句は、農耕と読書は両立できると言い、畑では鋤を担ぎ、家では経書を開いた昔の人の姿を挙げます。上は注意を内に集めること、下は限られた時間に二つを営むことを説き、どちらも時間と心の使い方の工夫です。仕事と学びを両立させたい人への励ましになります。
この章句が説くこと
集中耕読学問勤勉処世
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