囲炉夜話 / 第四十則・里中に少くべからざるの人
但作裏中不可少之人,便為於世有濟。 必使身後有可傳之事,方為此生不虛。
新字:但作裏中不可少之人,便為於世有済。 必使身後有可伝之事,方為此生不虚。
書き下し
但だ裏中に少くべからざるの人と作らば、便ち世に於いて濟する有りと為す。 必ず身後に傳ふべきの事有らしめて、方に此の生虛しからずと為す。
現代語訳
ただ村の中で欠かせない人になれば、それで世の中の役に立っていると言えます。必ず死んだ後に伝えるに足る事を残してこそ、この一生がむなしくなかったと言えます。
解説
人の値打ちを、身近な場と死後の二つの尺度で測った対句です。裏中は里中と同じで、自分の住む村や町のことです。天下国家に名を上げなくても、地域で欠かせない人になれば、それで世の役に立っていると言います。後半は、身後、つまり死んだ後にも伝えられることを残してこそ、一生が虚しくないとします。これは大きな業績に限りません。子に伝えた生き方や、周りの人の記憶に残る振る舞いも含まれるでしょう。今日なら、職場や地域でいなくては困る人になること、そして自分がいなくなった後も続くものを何か一つ残すことが、この則の勧めです。
この章句が説くこと
処世地域貢献後世立身
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